日本映画を代表する傑作の1本。巨匠・小津安二郎監督が、戦後変わりつつある家族の関係をテーマに人間の生と死までをも見つめた深淵なドラマ。故郷の尾道から20年ぶりに東京へ出てきた老夫婦。成人した子どもたちの家を訪ねるが、みなそれぞれの生活に精一杯だった。唯一、戦死した次男の未亡人だけが皮肉にも優しい心遣いを示すのだった……。家でひとり侘しくたたずむ笠智衆を捉えたショットは映画史上に残る名ラスト・シーンのひとつ。
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以前観た山田洋次監督の「東京家族」はこの映画をモチーフに作られたものと聞いて、いつかは観なければ、と思っていました。
山田監督の「東京家族」は、東京で忙しく生きる子どもたちは、親が上京した時にもなかなか時間を割くことができず、だけど心では親のことを大切に思っていることはわかるように描かれています。
しかしこの作品は、親から巣立って行った子どもたちは、親を切り捨てるように自分の生活をおくっていきます。
親のためにお金を出しますが、時間を割くことはしません。
そして、親の方もそれを、諦めを持って受け入れています。
山田監督は「家族はいつまでも家族なんだ」という映画を作りましたが、この映画は「家族はいつまでも家族ではいられない」というもの。
これは、家族関係が劇的に変化していった終戦後だからこその諦観であるのかもしれません。
子どもはいつまでも親のものであるという価値観が敗戦で消滅し、「個人」として生きることが奨励された頃の日本人。
原節子演じる、戦死した次男の未亡人が戦争の影をこの映画に与えていますが、蒼井優演じる次男の彼女は、東日本大震災の影響を映画に与えたとは言い難いところ。
全体に山田監督は甘いのだと思います。
そこが、観ている方には気が楽な部分もありますし、共感できる部分も多いのだと思います。
しかし映画の最後、東京から来た長男、長女、大阪から来た三男が帰って行き、同居している次女が仕事に出かけ、東京から来た次男の未亡人が帰り、家に一人残った父の姿は、現実を受け入れながらもうなだれていないその姿は、今の私たちにも訴える何かを持っています。

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以前観た山田洋次監督の「東京家族」はこの映画をモチーフに作られたものと聞いて、いつかは観なければ、と思っていました。
山田監督の「東京家族」は、東京で忙しく生きる子どもたちは、親が上京した時にもなかなか時間を割くことができず、だけど心では親のことを大切に思っていることはわかるように描かれています。
しかしこの作品は、親から巣立って行った子どもたちは、親を切り捨てるように自分の生活をおくっていきます。
親のためにお金を出しますが、時間を割くことはしません。
そして、親の方もそれを、諦めを持って受け入れています。
山田監督は「家族はいつまでも家族なんだ」という映画を作りましたが、この映画は「家族はいつまでも家族ではいられない」というもの。
これは、家族関係が劇的に変化していった終戦後だからこその諦観であるのかもしれません。
子どもはいつまでも親のものであるという価値観が敗戦で消滅し、「個人」として生きることが奨励された頃の日本人。
原節子演じる、戦死した次男の未亡人が戦争の影をこの映画に与えていますが、蒼井優演じる次男の彼女は、東日本大震災の影響を映画に与えたとは言い難いところ。
全体に山田監督は甘いのだと思います。
そこが、観ている方には気が楽な部分もありますし、共感できる部分も多いのだと思います。
しかし映画の最後、東京から来た長男、長女、大阪から来た三男が帰って行き、同居している次女が仕事に出かけ、東京から来た次男の未亡人が帰り、家に一人残った父の姿は、現実を受け入れながらもうなだれていないその姿は、今の私たちにも訴える何かを持っています。
