メガネ紛失事件勃発!
「またかい」なんて言わないで。
今回のは不可能犯罪に近いものがあると思うの。

いつものごとく本を読み読み家に帰って、晩ご飯の支度をする前にソファに座ったのが運のつき。
なかなか立ち上がれないのよね。
しょうがない、キリのいいところまで読もうと思ってメガネをはずしてテーブルの上に置いたのは覚えてる。
通勤用のメガネは度が強いので読書には適さないのよ。

キリのいいところというのはかなり恣意的に位置をずらすことができるわけで。
このパラグラフを読んだら…この1章を読んだら…この1話を読んだら…。
これ以上読んだら読み終わっちゃうってところまで読んで、ちょっと気になるところがあったので寝室に置いている本を確認に行く。

その時、かなり本を顔に近づけて読だからメガネはしていなかったはずなのね。
そして居間に戻って本を読み続け、結局読み終わってから、さあ晩ご飯の支度…と思ったら、テーブルの上に置いたはずのメガネがないの。
テーブルの下も、ソファの下も探したけれど見つからず。
念のために頭の上もまさぐってみたけどもちろんなくて。

あれあれ?もしかして寝室に置いてきた?
メガネをかけていなかった自信はあるけど、いま大事なのは私の自信ではなくてメガネの所在。
以前使ってた、真ん中をボンドで直したメガネをかけて寝室を探してみたけど見つからない。
ダブルスタンバイ、役に立たない。
気を取り直して、もう一度居間を探しても見つからない。

こんなときは、アレだ。
何事もなかったかのように晩ご飯を作るに限る。

我が家の食器棚は居間にあるので、台所から居間に皿を取りに行った時、足が何か軽いものを蹴った。
また娘の充電器か?(-_-メ)

いや、もしかして!

はい、ご想像のとおり、探していたメガネでございました。
ただ不思議なのは、私が座っていない方のソファの下にあったということ。
一体なんでこんなことに?

人生って不思議がいっぱい。


本日の読書:少年キム ラドヤード・キプリング

Amazonより
『ノーベル賞作家キプリングの最高傑作!あるときは裏町のヒンドゥー小僧。あるときはエリートの英国少年。あるときは高徳のラマ僧の弟子―。あの子は、だれだ?前世紀末インド、英露のスパイ合戦を背景に、東西の英知が交錯する壮大な物語。』

キムは、今でいえばストリートチルドレンのような子。
父はインド滞在のイギリス軍人だったけど、妻を亡くした悲しみから体を壊し息子一人を残して死んだ。
キムの身元を証明する三枚の書類を残して。

しかし書類だけでは人間生きていけないのである。
本来ならイギリス人であるキムは、路上生活ですっかり日に焼けて、ほぼ現地の子どもと見分けがつかないくらい。
頭の回転が速く目端の効くキムは、街中どこへ行っても「みんなのともだち」とよばれて可愛がられ、いろんな意味で重宝される子だった。

ある時キムの町にある博物館に、チベット仏教の高僧(ラマ)が現われた。
彼と博物館の館長との仏教談話を傍にいて聞いたことでキムの人生が大きく変わる。
その時々でヒンドゥー教徒だったりイスラム教徒だったりしたキムが、ラマの弟子としてラマとともに釈尊の放った矢が地面に刺さって湧きだしたという聖なる河を探す旅にでる。
托鉢をしながら旅をするラマを、キムは献身的に支える。

それとは別に、キムの頭の良さを見込んで小遣い稼ぎをさせてやる、馬商人のマハブブ・アリ(実はイギリスのスパイ)。
キムがイギリス人だと知って、白人としての教育を受けさせようとするイギリスの従軍神父や牧師。
教育を受けた暁には、インドに詳しく地元民になじんでいるキムをスパイとして使おうと待っている大佐。

多くの人たちにかわいがられ、思惑を引き受け、キムとラマは旅を続ける。
途中キムが学校に通って離れ離れになった3年間があったにせよ、ふたりの絆はけっして切れることはなかった。

キムの旅…冒険はもちろん面白い。
インドを北へ南へ、低地から高地へ。
インドの人たちの暮らしぶりも生き生き書かれていて、それだけ読んでも面白い。
スパイ行為もわくわくするほど面白い。

だけど、ラマに対するキムの献身が、徹底的な献身が、苦しくなるほど切ないのね。

ラマと旅をしながらキムはイギリスの諜報活動もしていたのだけど、ロシアのスパイとモメルことになってしまった。(わざとだけど)
激高したロシア人がラマの顔を殴ったとき、ずっと冷静に対処してきたキムの怒りが、とめどない暴力として発現したする。
自分が暴力を振るわれても平気なのに、師匠が暴力を振るわれたのを見て我を忘れてしまう。
そんな時ラマがキムにかけた言葉。

“怒りは怒りを増すだけ!悪は悪を増すだけだ!殺生はならぬぞ。僧侶を殴る者は己の業に縛られるままにしておくがいい。輪廻は正しく確実にめぐり、毫も逸れることはない!”

キムは本当に心から師匠のことが大好きなの。

“お師匠さんのためにいろいろ不手際をやらかしたと思うと、心苦しくて」熱い思いが突然喉元を突きあげた。「連れまわしすぎたし、おいしいものを持ってきてあげられないこともあったし、暑さにも無頓着だったし、道で人と話し込んでほったらかしにしたし……おれは……おれは……ああ!でも、お師匠さんが好きなんだ……でも、もう遅すぎる……おれは子供だったし……ああ、おれはなんであのとき大人じゃなかったんだ……」”

過酷な長旅と年のせいで弱ったラマの分までキムは、心身ともに重荷を背負い、力尽きようとした時
“「お師匠さんの肉体はぼくに頼っておられるけれど、ほかのすべてのことにおいてぼくはお師匠さんに頼っているんですよ。ご存じでしたか?」”

徳は高いけど世間知のない師匠を献身的に支える弟子。
「西遊記」のような「ドン・キホーテ」のような二人。

エンタメじゃないので、面白いんだけど地味なんだ。
だけどしみじみと心の深いところに染みてくる物語。


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