脳が興奮しているんでしょうか。
睡眠がコマ切れです。
100g28円くらいの大安売りです。

もっと寝てたいなーと思うのにも飽きたので、起きました。
今日はお弁当作りもないので、朝が少しのんびりです。
さあ、リフレッシュしろ、自分。←できるか!

香炉にお茶の葉を載せて火を点す。
芳ばしい香りが漂い、少し神経が落ち着く気がします。
何よりほうじ茶のようなその香りが好き。
しばし、うっとり。


本日の読書:6ステイン 福井晴敏

Amazonより
『愛する男を待ち続ける女、隠居した天才的スリ、タクシー運転手として働きながら機が満ちるのを待った工作員。心に傷を持ちながら、独り誇りを抱き続けた者たちの消せない染み。あきらめることを知らない6つの魂が、薄明の世界に鮮烈な軌跡を刻む。著者が織り成す切なく熱い人間讃歌、人生を戦うすべての者へ。』

逆恨みをされたうえに命を狙われた元諜報部員が絶体絶命の中で「いまできる最善のこと」
帰ってこない男を待ち続けた老女の品性が「畳算」
うら若い諜報員サクラの名前に秘められた意味「サクラ」
逃げられたはずの男が地元に戻ってきたわけは「媽媽(マーマー)」
引退して、窮屈でも安泰な老後を送っていたはずの元すりの男が「断ち切る」
引退間近の警補官が最後に遭遇した事件「920を待ちながら」

どれもこれも防衛庁情報局(通称市ヶ谷)に関わる人物の物語。
もちろん命のやり取りはあるし、結構リアルなので詳しく想像すると「う」と思ってしまう部分もあるけど、読後感は意外にも切ない。

人生のどこかで自分の心に嘘をついてしまった、流された、心残りがあった人たちの、ある意味起死回生がテーマになっているからだろう。

解説のあさのあつこも書いていたが「畳算」と「媽媽」が特に胸に迫ってきた。
これは私が女だからということなのかもしれない。
男の人の感想が聞きたいところ。

帰ってこない男を、恨むことなく待ち続ける。
老婆になり、人生に疲れ。
それでも男の生き様を守る。命を懸けて。
それが女の、凛とした生き方。

仕事か子どもか。できもしない二者択一の間で揺れ動く女の心。
自分を捨てた母親を、そうと告げることもなく命を懸けて守る男。

人生のどこかで、逃げずに自分と向き合わなければならない時がある。
それは必ずしもハッピーエンドにはならないかもしれないけれど、逃げてしまったら、逃げた自分を自分は決して忘れないから。

それとは別に「920を待ちながら」
少しタッチが違う気がする。
何かのびのび書かれたようなこの作品は、やっぱり同じく防衛庁上表局の話ではあるのだけれど。
最後の方で登場人物のひとりの本名が明かされる。
長編小説に出ていたこともある彼。

そうか。
確固とした世界がすでに出来上がっているからこそ、重厚なドラマがいい意味で軽やかに進んでいくのか。
世界観を構築することが作家にとって、いかに大変なことであるのかを垣間見た気がした。

「920を待ちながら」というおしゃれなタイトルにニヤリとした後の、あさのあつこの解説「快感という名の衝撃」
特別うまいなーとは思わなかったけど、結構おしゃれなやり取りではないですか。

私としては「510を待ちながら」が良かったけれど、920なんだからしょうがないですね。


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