解説

俳優の上川隆也が映画初主演を果たし、デイヴィッド・ゴードン原作の小説「二流小説家」を映画化したミステリー。不遇の小説家が収監中の殺人犯と出会うことにより、再び悪夢のような殺人事件が繰り返される戦慄(せんりつ)の事のてん末を描き出す。片瀬那奈、平山あや、小池里奈、黒谷友香といった女優たちが豪華共演。野心家の主人公が巻き込まれる思わぬ事態や、謎が謎を呼ぶストーリー展開に翻弄(ほんろう)される。

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あらすじ

ある日、小説家としてぱっとしない赤羽一兵(上川隆也)は、死刑が確定している連続殺人犯の呉井大悟から告白本の執筆を依頼される。彼はそのチャンスに飛び付き、呉井に面会に行くと、彼を主人公にした小説を書くという条件を提示される。赤羽は、ふに落ちないながらもOKし、3人の女性たちに取材をするのだが、行く先々で殺人事件が発生し……。

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小説を読んだはずなのに全く内容を覚えていないことに衝撃を受け、後日本屋さんで最後の方だけ立ち読みしたというのにやっぱり覚えていない。
感想をデジタルで保存するようになる前に読んだので、当時の感想を知るためにはノートをひっくり返さなければならない。
めんどくさいなあ。
そこまでする必要あるかなあ。

という状態で観ました。
さっくりと犯人はわかり、ミスリーディングさせるための人物についてもわかりましたが、これは私の推理力の賜物なのか、無意識の記憶のなせる技なのか。

アメリカの小説が原作なのに、日本を舞台にした日本映画として製作されたこの作品。
これは割と納得です。

親子という呪縛。
これがこの作品の大きなテーマの一つです。
親子の関係というのはそれぞれに適正な距離感というのがあって、近すぎても遠すぎても歪みを生み出す〈ことが多い〉ように思います。
過干渉と育児放棄。アダルトチルドレン。
ね?日本らしいテーマでしょう?

そして、本当の自分を誰かに知っておいてほしいという狂おしいほどの焦燥。
期待される自分、または立場上取らざるを得ない自分。
そんなものに紛れて見えなくなっているほんとうの自分を、知って、認めてくれる人の存在への渇望。
ね?日本らしいテーマでしょう?

二流小説家というタイトルで、主演は小説家役の上川隆也。
けれどこの映画の白眉は武田真治。
最初から最後まで死刑囚として刑務所にいる呉井大悟が放つ、狂気。

連続猟奇殺人事件の犯人でありながら、取り調べに対して嘘しか言っていないという不遜な態度。
聞いたことには答えない。
けれど俺の話は聞け、書け、と言う。
本当の俺を見ろ、そして書き続けろ。
目を離すことは出来ませんでした。

二流小説家というタイトル。
死刑囚の真実を書くことによって一流小説家の仲間入りをしたいと考える。
けれど、売れっ子作家が一流とは思わない。
売れない小説家ではあるけれど、無名の小説家ではあるけれど、それは二流ということではないのではないか。
人気作家でも、一流じゃないなあと思える小説家、いますよ。
「二流」小説家というタイトルがキャッチーなのかな。
原タイトルは「The Serialist」= 連載物を書く作家
ただそれだけなのよ。

そんなこんなで、武田真治に心奪われた映画ではあるけれど、映画そのものの出来としては「うーん」って感じ。
無駄な設定というか、回収されずに忘れられた伏線が多すぎ。





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