久しぶりに一日一人で過ごしました。
幸せ~。

朝は普通に娘を送り出し、それから一人。
土日は娘も休みなのでどうしてもいろいろやることが出来てしまうけど、今日は…今までサボっていたつけで日用品の買い出しとか、作り置きの料理とか、ちょっとした調べものとか、いつも通りの昼寝とか…。

7時頃娘から「早く帰れることになったから」と電話が来たので、一緒に遅めの晩ご飯。
こういうペースが私的には気楽でいいんだけどなあ。

お正月休みが明けても次男がしばらく残っていたせいでしばらく日常に戻れなくて、そして三連休。
明日から今年の本格スタートということにします。
仕事も多分月末のイベントに向けて忙しくなるでしょうしね。
さ、気合いを入れて、来週からけっぱりましょう。


本日の読書:一時帰還 フィル・クレイ

Amazonより
『戦場――そこに大義など、ありはしない。
戦闘地域の真っ只中だけではない。銃後の日常でも、帰還兵たちは自身の生の極限に直面する。彼らに慰めや癒しを与える、幸福な物語や簡単な答えなど、どこにも存在しない。蛮行と信仰、罪と恐怖、不安、無力感――生々しい戦場の現実から浮かび上がる戦争の無意味さ、愚かさ、人間の悲しみが読む者の心を撃つ。自身も海兵隊員として戦場の最前線に臨んでいた著者の体験を反映した本作は、2014年、アメリカでも最も権威あるナショナル・ブック・アワード(全米図書賞)を受賞した。』

収録作品
・一時帰還
・断片命令(フラゴー)
・戦闘報告のあとで
・遺体処理
・OIF(イラク自由作戦)
・兵器体系としての金
・ベトナムには娼婦がいた
・アザルヤの祈り
・心理作戦
・戦争の話
・それが開放性胸部創でないのなら
・十クリック南

これは戦争賛美の本でも反戦の本でもない。
ただの戦場の現実。それだけ。

最初ノンフィクションかと思ってしまった。
それくらい、全身のアンテナが異常に敏感になっている。

作中の人物が書いた日記は、作者の真実なのではないかと思うほどにリアル。
“私は戦争にも気高い部分があると少なくとも考えていた。気高さが存在することはいまでもわかっている。そういう物語はたくさんあるし、そのうちのいくつかは真実であるはずだ。しかし、私がここで目にするのは普通の男たち。善を為そうとしながら、恐怖に打ち負かされてしまう男たちだ。怒りを鎮められないこと、男らしさや厳しさを示そうとするポーズ、周囲の状況よりもタフに、ゆえに残酷になろうという欲求などに、彼らは打ちひしがれる。”

作品に出てくる男たちはゲリラの掃討部隊にいたり、従軍牧師だったり、後方支援部隊だったり、一時帰還兵だったり、除隊して大学に戻ったり様々だ。
様々なのに、軍隊にいたことのない人間とは決定的に何かが違ってしまっている。

“お前は以前のような物の見方、音の聞き方をしなくなる。脳内の化学作用が変わってしまう。
周囲のあらゆる情報を取り込む。一つとして逃さない。あとになって、それがどんな感じだったかを思い出すのさえ難しい。(中略)あまりに多くの情報を吸収するから、保存しておけず、ただ忘れてしまうのだろう。次の瞬間に起こるすべてのことを吸収するため、脳内に空きスペースを作り出す。そうやっておまえは生き残る。そうしたらその瞬間のことを忘れ、次の瞬間に集中する。それから次の瞬間。次の瞬間。そうやって七か月を過ごす。”

「兵器体系としての金」
戦争には金がかかる。
だから国費だけではなく、結構な寄付が送られているのだということを初めて知った。
そして政治家にとっては、有権者に対するアピールになるということも。
そういう生臭い部分を、善意の、戦場の実態を知らない理想主義者からの寄付を通して笑いに転化した作品。
これが一番安心して読めた。

「OIF(イラク自由作戦)」
“EOD(爆弾処理班)は爆弾を処理した。SSTP(緊急展開救命医療チーム)は傷の手当てをした。PRP(人員回収処理班)は遺体の処理をした。職能08(砲兵)たちはDPICM(二用途向上化従来型弾)を発射した。MAW(海兵航空団)はCAS(近接航空支援)を提供した。職能03(歩兵)たちはMSR(補給幹線)をパトロールした。俺とPFC(一等兵)は金銭を扱った。”
この非人間的な文章ときたら。

一時帰還したところで、興奮しきった神経が休まることはない。
むしろ周囲との温度差を感じるばかりで、そんなことなら線上にいた方が落ち着くくらいになってしまう。
それは不幸なことであると自覚はあっても、どうにもならない。

“長いこと、俺は怒っていた。イラクについて話したくなかった。だから、そこに行っていたことは誰にも言わなかった。”

一度傷ついた心が、元に戻ることはない。
元と同じにならない中で、どう周囲と折り合いをつけていくかなのだと思う。
それは、程度こそ違っても鬱病で一度心が砕けた私が、気を付けていることでもある。


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