今年初めて本格的な雪が降った札幌。
今年初めてなのに、ずっと降ってた。
昼前の飛行機で帰るはずだった10さんの乗った飛行機が飛び立った時はもう夕方。
いきなり本気モードだよ。

それでも仕事帰りに、積もった雪に指を突っ込んでみたらシャーベットみたいになっていたので、明日はもう本気が緩んでいるかもしれないな。

んで、何が衝撃な事実かってーと、話は日帰り温泉に行った日へ戻ります。

iPodで毎日音楽を楽しむようになった私は、次なる野望を抱いたわけです。
『車の中でも、これ聞いていたい』

基本、動きが鈍い私だけれど、こうと決めた行動は早いよ。
さっそくヨドバシに行って買ってきました。FMトランスミッター。
これでiPodと車を繋げばいいじゃん。
私、あったまいい~!

ところが普段車に乗らない生活をおくっているので、決行までに結構時間がかかりました。
そして、日帰り温泉に行った日。
車に乗り、おもむろにバッグから一連のブツを取り出して車に取り付けようとしたところ、衝撃の事実が!

コンソールパネルを見てもクラスターパネルを見ても、トランスミッターを差し込むところが見当たりません。
昔は喫煙者だった10さんが、たばこを吸わなくなってから買ったこの車。
確かにシガーライターはいらないけど、電源用のソケットはあるはず。

と、頭から思い込んでいたのに、どこをどう見てもソケットが見当たらない。
ま~じ~で~!!!

10さんに聞いても、あるはずだというものの、どこにあるかはわからない。
オプション機能をほとんどつけていない、小物入れだらけのダッシュボードのあちこちを開けてみても見つからない。

自力で見つけること能わず。
しぶしぶ取説を引っぱりだして調べてみたら、ドライバーズボックスの中にありました。
そこは10さんの管轄なのね。

ソケットにトランスミッターを差し込むこと、FMの周波数を設定すること、運転中ドライバーズボックスの蓋をあけっぱなしにすること、降車の折りはトランスミッターを外して蓋を閉めること、などなど、腰を低くして10さんにお願いしました。

音楽は聞けたけど。
音楽は聞けたんだけど。

めんどくせ~!!

あ、違った。
言いたかったことは、この車買って来年の春で10年になるというのに、ソケットの位置を把握していなかったという事実。
なんというか…バカ夫婦だな。


本日の読書:出口のない海 横山秀夫

カバー裏より
『人間魚雷「回天」。発射と同時に死を約束される極秘作戦が、第二次世界大戦の終戦前に展開されていた。ヒジの故障のために、期待された大学野球を棒に振った甲子園優勝投手・並木浩二は、なぜ、みずから回天への搭乗を決意したのか。命の重みとは、青春の哀しみとは―。ベストセラー作家が描く戦争青春小説。』

戦争のために、夢を持つことさえ許されなかった時代。
ただ、仲間たちと野球をしたい。
そんな些細な夢さえも、同じ年頃の若者が戦地で次々死んでいく中で野球を続けることの罪悪感や、自分も早く後に続かなければという焦燥から、ぽろぽろと仲間が抜けていく。

そんな中、並木浩二だけは、壊れてしまった肘で投げられる魔球を作り出すために、日々の練習を続けていたのに。
学生であることが兵役免除の理由にならなくなったのは、そうでもしなければもう兵士の調達ができないくらい、日本軍が追いつめられたころ。

熟練の兵士がほとんど失われた日本で、学士(大学生)だったら理解力も高いので、少し教えただけで前線で活躍できるだろう。
そんな目論見で軍に組み込まれた、数多くの大学生。

並木はそれでも、辛い軍隊生活のなかで、魔球をつくる夢を持ち続ける。
しかし体力の限界まで毎日訓練は行われ、少しの休憩も許されず、その後は修正という名のリンチを受け、徐々に思考力は失われ、言われたことをいかに早く行動できるかだけが日々の目標となったとき、気がつくと並木は後戻りのできないところにいたのだった。

若者らしく夢を持ち、友と語り、好きな音楽を聞き、互いに想いを寄せ合う相手がいる。
たった一年前のそんな生活から、あっという間に、流れに巻き込まれたかのように後戻りのできないところにいた。

死にたくない。
大切なものを守るために死なねばならない。
自分が死んだからといって、守りきれるわけではない。
自分が死なねばならない理由は、なんだ?

生と死の間を、何度も揺れ動く並木。
最終的に死地に赴くことに覚悟を決めた並木の真意は?

“国のために死ぬことに迷いはない。自ら志願したのだ、回天特攻を死に場所にすることに悔いも恐れもない。ただ……。
 自分は特攻という美名と功名心の虜になってはいなかったか。国家とか軍隊とかの見えざる巨大な意志に同調し、引きずられ、流されてきた。そうではないと言い切れるか。お仕着せの男の生きざまに飛びつき、そこから外れてしまうのが恐くて、生きていたいという本能を無理やり捻じ伏せ、封じ込めてきた。他の誰よりも勇敢たらんと虚勢を張ってきた―。”

並木はかなり意識的に「絶対生きて戻る」と思って入隊するのに、たった一年で特攻とは知らなかったとはいえ、特殊兵器部隊へ志願してしまうのである。
それが本当に怖い。

一か所に人を集めて、ヒステリックに購買欲を高めて、高額商品を買わせる詐欺があるけれど、軍の洗脳ってそんな感じだ。
冷静に考えたら絶対そんなことしないのに、冷静に考えさせてもらえない。
ヒステリックな熱にあおられて、流されて、命を差し出すことになる。

差し出すことになってしまった後も、並木は夢をあきらめず、考え続けた。
自分が死ぬ意味を。
それはどれほどの精神力かと。