土曜日は娘と映画を観に行って、晩ご飯を食べて帰ってきました。
結構込み合った店内で、カウンター席しか空いていなかったので、並んで食事。

家族みんなでいる時に並んで食べたことは、それこそ数え切れないほどあります。
でも、二人で並んで食べるというのは、初めてだったかもしれません。

向かい合うのではなく、並んでみると、なんだか今までとちょっと違う距離感。

メインである、牡蠣のガンガン焼きを食べながら、もぐもぐもごもご語り合う母子。
「兄ちゃんはさ~、小さいときから今に至るまで、ずっとお兄ちゃんらしくて、いつも迷惑かけて悪いな~と思ってるんだけどさ~、私は全然お姉ちゃんらしくなくって、自分のことばっかりで…」
うんうん。
弟妹がいてくれたからお兄ちゃんらしくなれたってこともあるだろうし、自分で意識してなくてもちゃんとお姉ちゃんだったよ。あつあつ。はふはふ。もぐもぐ。

娘さんが不登校になった知り合いがいて、その時ご主人が単身赴任で、「ご飯を食べる時、娘と向かい合って二人で食べていても、全然目が合うこともなければ会話もなくて、それがとてもつらい」と言ってたことがあります。

じゃあ、並んで食べたら。無理に目を合わせなくても、同じ方向いて食べればいいじゃん。
とりあえず横にいる。一人じゃないんだよって。
そう言ったのは私なのに、並んで食べることの効用を知っていなかったなあ。
彼女はその後、娘さんと並んでテレビを見ながらご飯を食べて、なんとなく会話ができるようになったと言ってたけれど、本当に並んで食べると結構普段言えないようなことも言えたりなんかして、たまにはいいですよ。


本日の読書:赤い竪琴 津原泰水

カバー裏より
『日常に倦み、無気力に生きるグラフィックデザイナーの入栄暁子は、祖母の遺品から出てきた夭折の詩人の日記を、その孫・古楽器職人の寒川耿介に返すため、尋ねていく。無愛想な寒川は、押し問答の末日記を受け取るが、お礼にと自作の赤い竪琴を暁子に渡す。この不思議な出会いは、沈潜していた暁子の心を強く揺り動かした。受け継がれる“絆”と“謎”の行方を描く、静謐な恋愛譚。』

気がついたら恋に落ちていた。
相手のことなんてほとんど知らないのに。

直球の恋愛物語。
創元推理文庫から出ている作品だけど、ミステリとしてではなく、恋愛小説として読んだ。
だって、恋愛って多かれ少なかれミステリでしょ。
100%オープンに分かり合っての恋愛って、そもそもあるのかしら?

相手の気持ちがわからない。
自分の気持ちがわからない。
どうしたいのか、どうされたいのか。

何事も生真面目に思いつめるタイプの暁子が、どうしようもなく耿介に惹かれ近づいて行きながらも、なかなか一歩が踏み出せないもどかしさがよい。
一冊まるまるがもどかしいほどの恋うる心。そこがよい。