第一線を退いた音楽家たちが生活している「ビーチャム・ハウス」では、経営難のホーム存続を懸けてコンサートの準備に追われていた。そこで余生を過ごすレジー(トム・コートネイ)、シシー(ポーリーン・コリンズ)、ウィルフ(ビリー・コノリー)たちのもとに、かつてのカルテット仲間だったものの確執を残して去っていったプリマドンナのジーン(マギー・スミス)が入居する。コンサートを控えたメンバーは、疎遠だった彼女との再会に当惑するが……。


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ピークを過ぎて、以前は当たり前に出来ていたことが出来なくなっている自分を知るのはつらい。
ごく普通の人生しか生きていない私でさえそうなのだから、スターであった、プライドの高いジーンが昔の様には歌えなくなっている自分を認めることはどれだけの苦痛であることか。

「ビーチャム・ハウス」は音楽家のための老人ホームなので、その痛みは多かれ少なかれ皆持っているはず。
昔の様には声が出ない。昔の様には楽器を弾く指が動かない。
それでも音楽を楽しむ心は変わらない。

歌ってほしいという要請に、ずっと「ノー。」を言い続けるジーン。
そんな彼女に、何度も明るくアプローチするシシーが好きだ。
ジーンの心ない言葉に傷ついたシシーを見かねて男性陣が「君は歌わなくていいよ。君のライバルだった彼女はトスカを歌うけどね。」ということで、ジーンのプライドに火がつくわけですな。
で歌うことになったカルテットのメンバー。
コンサート当日も、まあ、いろいろあり…。

でも実は、ストーリーはあんまり重要ではないかもしれない。
感動作にしようとすれば、もっと感動できるような作り方があったと思うけど、これはとにかく音楽を楽しむ映画なのでは?
というか、音楽を楽しむ老人たちの姿を見て、ピークを過ぎたその先の人生にも楽しむものはちゃんとあって、必要とされる場面もきっとあって、それに応えるべく努力をするのもなかなかいいものなんじゃないかと勇気づけられる映画。

若い人より、私みたいな年齢の人たちがちょっと疲れた時に見れば、少し元気がもらえるかも。