先月友だちからメールが来た。
視界になんとなくちらちら黒影が見えて気になるので病院へ行った、と。
視界が欠落していって、最終的に失明したらどうしようと不安を抱えて病院へ行ったらあっさりと「飛蚊症ですね。つまり目の老化です。」と言われたらしい。

目の老化って言えば確かにそうなのかもしれないけれど、言い様があるだろうにと思いながらそのメールを読んだのだけど、昨日、とうとう私にも視界の片隅をちらちら動く黒い影が見えてしまった。
近視で乱視で、なのに本を読んでばかりで目を酷使するものだから、いい加減衰えてもしょうがないけれど、今にいたるまで手元の文字が読みにくいなんてことはなかったので、ここにきていきなりの老化か…と思ったら。

ぷぅ~ん。
耳元で聞き覚えのある音。

そして私は蚊取り線香に火をつけた。


本日の読書:ボクの町 乃南アサ

カバー裏より
『警視庁城西署・霞台駅前交番に巡査見習いとして赴任した高木聖大は、研修初日から警察手帳に彼女のプリクラを貼っていたことがバレるような、今風のドジな若者。道案内、盗難届の処理、ケンカの仲裁などに追われるが、失敗の連続でやる気をなくしていた。が、所轄の同期見習いが犯人追跡中に大ケガを負ったことで俄然、職務に目覚める。聖大の成長をさわやかに描くポリス・コメディ!』

多分読んでいるとき眉間にしわが寄っていたのでは。
とにかく人のはなしを聞かない。それも、そそっかしいのとは違って、訓示や説教、注意事項といった大事なことを聞かない。聞きたがらない。積極的に耳を閉ざす。

すぐに頭に血がのぼる。
子ども相手だろうが酔っぱらい相手だろうが、相手がけんか腰ならこっちもけんか腰だ。
市民相手に暴力事件を起こさずに済んでいるのは、周りの人が止めてくれるからだ。

では、熱血警察官なのかというとそれも違って、本当はフリーターでしばらく生きて行こうと思っていたのだが、売り言葉に買い言葉で就職することになり、行き掛かり上それが警官だっただけなのだ。
だからすぐ、この仕事は自分に向いてはいない、と逃げる。
「なら、おまえに向いている仕事ってなんだ?」といわれると黙るしかないくせに。

やる気はないくせに手柄だけは立てたがる聖大。
交番勤務とはいえ、事件が起きれば命の危険もある。
だからこそ「チームプレーであることを忘れるな」「自分の命は自分で守れ」としょっちゅう怒られているのに、それが出来ないんだなあ。

いつ成長するのだろうとイライラして読んでいた。
500ページ強の作品の400ページ目で、まだ成長していない。
最後まで読んで、やっとほんのちょっぴりの成長が見える。
そうだよね。人間そんなに簡単には成長できません。
言われたことがすぐに身につくようならだれも苦労はしません。

実はこの高木聖大の成長した姿は別なシリーズに出てくる。
いや、相変わらず軽いけど、でも職務はまじめにやっていそうですぞ。
「マエ持ち女二人組」シリーズ。芭子と綾香の出てくるやつ。
先にこっちで高木巡査を見ちゃったから、未熟すぎてイタい高木聖大がちと辛かった。
読む順番も大事だな。

芭子は高木巡査に自分の前科を知られるのではといつも警戒しているけれど、この本を読む限り、彼はそういうことは気にしないくらいの器はありそうだよ。
狂言回しなのかと思って今まで彼のことをあまり気にしていなかったけど、芭子の心を癒すのは、やっぱり聖大なのかもしれない。