内容:住んでいる町を出たことのない、口ばかり達者な無職の中年男・二郎(佐藤二朗)は実家に居候して暮らしてきたが、ある日父が急死。続いて母・鞠子(藤田弓子)が家出してしまい親せき一同が困り果てていた中、マメシバの子犬が突然現れる。母が自分を探させるために送り込んだ犬だと判明し、二郎はその子犬を連れて初めての旅に出る。


この間からテレビシリーズのDVDをレンタルして観ていました。
テレビの続編が映画になったのかなと思っていましたが、実はパラレルワールドだったんですね。

主人公とその家族・親戚はテレビと同じ。
好きなテレビ番組「ジンジャーマン」も同じ。
ペット屋さんや笑い飯の西田さんも、テレビシリーズでおなじみなのに、初めてのような顔で出てきます。

家から半径3kmより外の世界を知らない次郎。
テレビでは少しずつその距離を延ばしていきます。
国道の向こうまで。橋の向こうまで。線路の向こうまで。

けれど映画では、いとこと一緒とはいえ、一気に電車に乗って遠出をします。

テレビの方が細やかなのは当たり前ですが、時間の短い映画だからこそ、はっきりと表現されていたのが、次郎の複雑な心の内。
口が達者で毒舌家で屁理屈ばかりこねますが、実は次郎はとても怖がりなんですよね。
他人の視線がとても怖い。
何を考えているのかわからないから、自分の悪口を言っているのではないかと怖くて怖くてしょうがない。

怖いからこそ、他人に対して先に毒を吐いてしまうのです。
悪口を言っているのではないかと怯えるのは、自分で自分のことをよしとしていないからです。
本当はもっと違う自分でありたいのだろうけど、やっぱり怖くて内にこもってしまう。

そういう次郎の気持はよくわかります。
私にもそういうところは大いにありますから。

“休憩ってくせになるって知ってた?
 一回休憩すると次に動き出すのに、また、すっごい力が必要なんだって。”

歩くのを休みたい。ちょっとだけだから。
でも本当は、もう歩くのをやめてしまいたい。
外の世界はやっぱり怖い。
家の中で、安心して過ごしていたい。誰かに守られて。
だけど歩かなければならない時もあるんだと次郎は気づく。

35歳、無職で居候の次郎に対して、両親が優しいんです。
もちろん心配して、何とかしなければと思っているのだけど、面と向かって「なぜちゃんとしないの?」と追いつめるようなことはしない。
笹野高史さんのとぼけた感じと、藤田弓子さんの温かさがとてもいいです。

それにしてもラスト!というか、ラス前!
テレビと全然違うので、度胆を抜かれました。
そうきたか~。