あらすじ: 1993年、何事にもきちょうめんな妻の翔子(木村多江)と法廷画家の夫カナオ(リリー・フランキー)は、子どもを授かった幸せをかみしめていた。どこにでもいるような幸せな夫婦だったが、あるとき子どもを亡くしてしまい、その悲しみから翔子は心を病んでしまう。そんな翔子をカナオは温かく支え続け、2人の生活は少しずつ平穏を取り戻してゆく。


タイトルに惹かれて借りました。

ぐるりのこと。

身の周りのことということですね。


「ぐるりのこと」梨木果歩のエッセイがあります。

厳しいくらいに1本筋の通った、彼女の、その暮らしぶりが好きです。


映画はそれとは全く関係がなかったのですけど。


「なんでちゃんとできないの。」翔子は言います。


悪気はないんだけど、仕事ができない、注意しても聞く耳持たない、言葉がかみ合わない職場の後輩。

悪気はないんだけど、見栄っ張りで自己中な兄夫婦。

悪気はないんだけど、頑固な母。

悪気はないんだけど、頼りない夫。


それが、子どもを亡くしたころから、翔子の情緒が不安定になる。

心の中にある黒い思いを外に出すことができなくて、苦しくて苦しくて、足を踏み鳴らしているようにドスンドスンと部屋を歩き回ることしかできなくなる翔子。

見ているこちらも、苦しくて苦しくて。


「ちゃんとしたいと思っているのに。何もうまくいかない。」って泣く翔子。
「ちゃんとしなくていいよ。いろいろ考えすぎるんだよ。みんなに嫌われたっていいじゃない。好きな人にたくさん好きになってもらった方がずっといい。」ってカナオ。


やっと吐き出した心。言葉が、涙が、出てくれば楽になれるね。


そしてカナオ。

彼も、やっと出てきた言葉だと思うの。

だって、ずっと彼は翔子の様子を、苦しむ姿を見つめていたから。

でも、何も言わない彼女に、何も言えなかった。


そんな10年間。

誰にでもあるような、幸せも、不幸も、退屈も、怒りも、いろいろあって。


そう、いろいろあるのよ。

「なんでちゃんとできないの。」翔子が自分と重なるんです。

みんなに嫌われたくないとは思わないけど、自分が好きな人たちには嫌われたくないよ。

私が好きな人(家族だったり友人だったり同僚だったり)は、私を好きでいてくれるのか、ものすごく自信がなくて、考えすぎだってわかっていて、でも気になって、「うがーっ!」ってなるの。

ちゃんとできないの。


でも、まあ、しょうがないわ。

できないことったら、いっぱいあるもの。

出来ることを出来るときに出来るだけやるしかないもんね。

なんてことを、ここ数年で思ったりしている。


自分のぐるりのことも考えてしまった。

こんな映画の見方で、いいのかしら?