「どうして?」って聞いたら「ナイショだよ。教えたら損しちゃうもん。」

「これなあに?」「どういうこと?」って聞くことが許されない。

そういうこということなんでしょうか?


まず最初に、仲間か仲間ではないかの線を引いてしまうということなんですね。


仲間の言うことしか聞かない。信用しない。

それ以外の人は敵なの?


私は許されることしかできないのでしょうか?

何が許されていることで、何が許されなくなることなのかもわからないのに。

それすらもナイショのことになっているのに。


ごめん、子どもたち。

こんな国を君たちに手渡さなければならないなんて。

こんな国にしたいと思ったことは、一度もなかったはずなのに。


本日の読書:半分の月がのぼる空 上 橋本紡


Amazonより

『普通の少年と少女の、だけど“特別”な物語。』


単行本で上下巻の上です。文庫だと1~3巻まで。

下巻は文庫の4~6巻までで、7,8巻を読みたい人は文庫を探さなくてはなりません。

札幌市はラノベの蔵書が少ないので、単行本しかありませんでした。


ドラマ化や映画化などされているところを見ると、結構人気のある作品なのだと思いますが、私はもう、この本全然ダメでした。

腹が立って、腹が立って、読み進めるのに苦労しました。


ライトノベルと言えども、軽々しく人の死を感動の切り札にしてほしくありません。

死をテーマにした小説は数多ありますが、この作品に関しては、死はアクセサリーにしか見えません。


主人公の少年はウィルス性肝炎で入院しています。栄養を取って安静にしていなければなりません。

ところが彼は、しょっちゅう病院を抜け出します。昼でも夜でも。

病院の管理体制を疑います。


少女は心臓が悪く、このままでは死んでしまいます。手術をしても、あまり回復は見込めないようです。

繊細な性格なのはわかります。人付き合いをしたことがないから、大変人と接するのが不器用になってしまうのもわかります。

けれど、死に至る病であることは、何をしてもいいという免罪符にはならないでしょう。


安静を必要とする病人に、図書館で本を借りて来いって、なんだそりゃ?親に頼め。

安静を必要とする病人を、冬の夜一晩中、屋上に閉じ込めるって何?絶対安静のめに遭わせたことは1度ではありません。

他人の命に対する配慮が全くありません。

けれど死を前にした美少女は、何をやっても許されるのです。


当直の時に酔っぱらった挙句に感情的になって、患者をぼこぼこに殴る医者も、病院の決まりごとを、本人の勝手な判断で無視しまくる看護師も、ありえません。


患者が勝手に忍び込むことができる手術室。勝手にさわれるメスや注射器。なんなんですか?


私が子どもの頃入院した病院にも、生まれてから一度も病院の外に出たことがない子がいました。

一生治らない病気の子もいました。

怖い看護婦さんだっていました。


彼らのことを思い出すと、このあまりにも健康を軽視し、好き勝手な行動をとる登場人物たちに腹が立って腹が立って、途中で読むのをやめようかと思うことが何回もありました。

でも、途中までしか読まないで作品の良し悪しを語るのはフェアじゃないと思うので、下巻も予約します。

人気はあるみたいなので、多少順番を待たされるとは思いますが、読み切ろうと思っています。

そうしたらまた違った感想を持てるかもしれません。