「フィンランドデザイン」展に行った時の事、いつもと違う地下鉄の出口からひょっこり地上に出ると、“軽食・喫茶スオミ”というお店がありました。
なんという運命の出会い!と思いましたよ。
スオミってフィンランド語でフィンランドの事です。外壁には「フィンランドデザイン」展のポスターも貼っていました。
もちろん帰りにその店に寄ったのですが、なんか違う…。
”おすすめメニュー 鍋焼うどん”
なんか違う…。
そんな話を今日職場で師匠にいたしました。
何でもすぐに調べてくれる師匠、さっそくネットで検索して教えてくれました。
口コミが2件。
「コーヒーを飲もうと店に入ったが、店内に置いてある砂糖壺がことごとく汚れていたためぜんざいを頼む。
帰りにぜんざいの味の秘密を聞くと、サトウの切り餅と缶詰が自慢ですと。」
「数あるメニューから選ぼうとしても、マスターが面倒くさいからと断ったり、今はやっていないと言われ、半ば強引にケーキセットにさせられる。
ケーキはタッパーの中に冷凍してあり、その中から自由に選べる。
飲み物はやはりマスターのごり押しによりサイダーにさせられ、見ていると栓を抜いたサイダーと新品のサイダーのミックスであった。
“サイダーに色つける?”とマスターに聞かれ、色を付けてもらうことにすると、“ピンク?緑?”と聞かれたので緑の着色を所望。」
え…えと、えと…実はすごいお店だったのですね。
でもなんだろう、誤表示の一流ホテルに比べると、むしろさわやかなほどに潔い。
でも、どっちもやだよー。
本日の読書:トリエステの坂道 須賀敦子
Amazonより
『あまたの詩人を輩出し、イタリア帰属の夢と引換えに凋落の道を辿った辺境都市、トリエステ。その地に吹く北風が、かつてミラノで共に生きた家族たちの賑やかな記憶を燃え立たせる――。書物を愛し、語り合う楽しみを持つ世の人々に惜しまれて逝った著者が、知の光と歴史の影を愛惜に満ちた文体で綴った作品集。未完長編の魁となったエッセイ(単行本未収録)を併録する。』
イタリアの地図を見ながら読みました。ミラノってどこ?ナポリって?フィレンツェって?
イタリアって、南の農村地帯は貧乏だけど、北の工業地帯は都会なのかと思っていました。
そしてイタリアといえば、ギラギラした太陽と真っ青な空のイメージ。「ベニスに死す」の影響か?
アクワッツォーネ。季節には関係なく降るにわか雨。槍が束になって落ちてくるみたいな雨で、大抵の場合は激しい雷を伴ってくる。ワイパーもきかない。イタリアにそんなゲリラ豪雨みたいな雨が降るなんて知りませんでした。
この本に書かれているのはラテンで陽気なイタリアではなく、静かで内省的なともすれば陰気なイタリア。
しみついた貧乏生活。次々に訪れる家族の死。
だけどこの本は、どこか暖かく、希望をはらんでいる。
それは、須賀敦子という人の中に潜んでいる古いハスの種(信仰)故なのかもしれないと思った。
著者が一度も会ったことのない、夫の亡き父ですら生き生きと、義弟の奥さんの実家の人々も家族のように、全てを受け入れる懐の深さ。
異国で、異文化で、もどかしい思いも多々あったと思うけれども、少しずつ距離を縮めながら、自分の思いすら確認しながら受け入れていったのが分かる。静かな、豊饒な文章。
焦らず止まらず。そこに絶望はない。