今日久しぶりに出勤して山積みの仕事を笑顔で迎え撃ち、その後人事評価の目標到達度を作文するのに四苦八苦。半期に一度のこの作文が、実に嫌いなのです。
本当は個人情報なので秘密文書扱いなのですが、私事で秘密を作るのがめんどくさい私は、ペロッとみんなに見せてしまいます。すると皆一様に、文章の短さにのけぞりますね。
「マッピーさん、文章書くの好きじゃないですか。もっと書けるでしょ。」
文章書くのは嫌いじゃないけど、心にも思っていないことをねつ造するのが苦手なのだよ。
お金もらって仕事しているんですから、全力尽くすのあたりまえでしょう?
それを、何をいつまでに何%なんて考えている時間がもったいない。仕事をしている私の姿勢を見て、管理者が評価すればいいじゃん。それが仕事なんだからさ。私の仕事目標を設定するの、私の仕事じゃないも~ん。
悩みに悩んだ挙句のぺらっぺらな作文を、夕方課長に提出しました。多分、もっと肉付けしろとか言って返されるんだろうけど、今週は忙しいんだよ!休暇でたまった仕事を片付けたら、課長からの宿題をやらねばなりません。暇を見つけてやっとけよ~と、今日課長からメールが来ていました。メールを未開封にしてみたけど、何の解決にもならないんだよなあ。
先週の読書
8月14日 女王の百年密室 森博嗣
Amazonより
『2113年の世界。小型飛行機で見知らぬ土地に不時着したミチルと、同行していたロイディは、森の中で孤絶した城砦都市に辿り着く。それは女王デボウ・スホに統治された、楽園のような小世界だった。しかし、祝祭の夜に起きた殺人事件をきっかけに、完璧なはずの都市に隠された秘密とミチルの過去は呼応しあい、やがて――。神の意志と人間の尊厳の相克を描く、森ミステリィの新境地。』
森博嗣は言葉を実に厳格に定義して使う。そこに嘘はない。全くブレのないクリアな言葉たち。その機械的なくらい明快な言葉が謎を作る。
故意に語られない事ども。ミスリードを促す言葉のつなぎ。
詩のような短文で語られる楽園。不平不満不公平のない世界。しかし、ひたひたと近づいてくる終わりのイメージ。
システマティックな思考とシステマティックな世界。大好きなのだけど久しぶりだったし、何しろ暑くて思考がしばしば停止するので、 この世界に慣れるのに時間がかかり、楽しむまでには至らなかった。残念。
8月16日 迷宮百年の睡魔 森博嗣
Amazonより
『周囲の森が一夜にして海と化したという伝説をもつ島イル・サン・ジャック。22世紀の旅人ミチルとロイディがこの島で出会った「女王」は、かつて別の地に君臨した美しき人に生き写しだった――。王宮モン・ロゼで発見された首のない僧侶の死体、犯人と疑われたミチル、再び消えた海と出現した砂漠。謎に満ちた島を舞台に、宿命の絆で結ばれた「女王」とミチルの物語の第2章がはじまる。 』
テーマは前作とほぼ同じ。
生きる、とは。死、とは。殺すことはなぜ悪いのか。
自分とは肉体のことか、意識のことか。もし肉体と意識が分離してしまった場合、どちらが自分であるのか。
ミステリーの体裁を借りた哲学の書。この本の本質はどちらにあるのか。
突きつけられたテーマは重いので、結論を早々に出すことはできない。答えは本の中にあるのではなく、読者一人一人の人生の中にあるのだから。
文体に慣れたのでさくさく読めたけど、作品としての面白さは前作の方が上か。
サエバ・ミチルが何歳なのかわからないけど、ロイディとの会話を見ると高校生くらいにしか見えない時が多々あり、ちょっと引っかかってしまた。
8月17日 さぶ 山本周五郎
Amazonより
『才走った性格と高すぎるプライドが災いして人足寄場に送られてしまう栄二。鈍いところはあるがどこまでもまっすぐなさぶ、ふたりの友情を軸に、人の抱えもつ強さと弱さ、見返りを求めない人と人との結びつきを描き、人間の究極のすがたを求め続けた作家・山本周五郎の集大成。』
主人公はさぶではなくて栄二。
無実の罪を着せられて信用を失い、仕事を失い、石川島の人足寄場に送られた時にはすっかり人間不信になっていた栄二。
けれどそこで過ごした三年で、栄二は自分のことを全くの好意から見返りも求めずに支え続けてくれる人たちのことを思えるようになり、人間として成長して江戸に帰ってくる。
私としてはおのぶが一番好きだ。親も兄弟もろくでなしで、自分一人の足でしっかりと立ち、人生に立ち向かう。逃げたら負けだ、と。
栄二のことが好きなのに、栄二の耳に痛いこともちゃんと言い、間違いを正してやる。女としては損な気性だけど、私は好きだ。
さぶは多くを語らないけれど、語らない中のさぶの真実に栄二が気付いた時、二人の人生の将来は明るいのではないかなあ。