最後は、キョーコsideから見たお話になります!
さてさてとうなるのかな?お楽しみください。
⚠️「」は、日本語。『』は、英語です。話が少し長めになっちゃったので中編を二部に分けました。
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私は、呉前Pに言われてその場に残り皆を見送った。すると…
「京子さん貴女は、村雨君と子供の頃に出会ってたんですね。あまり良い出会いではなかったようですけど。」
「私もさっき思い出しました。すみませんスタジオを騒がせてしまって。お叱りは充分に受けますので、本当に申し訳ありませんでした。」
「いえ、まだ撮影してませんでしたので何とかなりましたよ。でも今後は気をつけてくださいね。それと、お話は説教ではありません別の場所で話しましょう。こちらに来てください。」
呉前Pが別の話しがあると言うことで、スタジオを離れて応接室みたいな感じの部屋に通された。
そこには日本人男性1人と宝田社長と、Mr.Dことエルトラさんがソファーに座って待っていた。
「よう来たな最上君。」
『やあキョーコ待ってたよ。』
「あのう…社長何のご用でしょうか?」
「まずはこっちのキャスティングプロデューサーから挨拶させろ。」
キャスティングプロデューサーと言われて、もう一人の男性がソファーから立ち上がった。
「どうも始めまして京子さん。私は、日本語吹替声優担当のキャスティングプロデューサーをしている、俵田と申します。」
「日本語吹替声優担当?」
私は思わずおうむ返しに聞いてしまった。
その後ソファーに座るよう促され、話が進められた。
「えっと…それじゃあ私も声だけの出演だけど、映画に参加出来るって事ですか!?」
まさかの声優としての出演オファーが私に舞い込んだのである。
『キミの声が、アビゲイルとなんと無く似ている事に気付いてね。日本での海外作品の日本語吹替を担当する声優は、顔の雰囲気や声が似ている人物が採用される場合が多いって聞いてる。
他にも、フィクサー声優なんて呼ばれる俳優専任声優までいるんだろ?日本語吹替になっても違和感がないから日本の声優は、世界から見てもレベルが高いことで知られてる。
アビゲイルの場合は、今の所日本人の専任声優はいなくてね。彼女は、これからも演技の実力が延びる女優だと私は思ってて目をかけてるんだ。そこでキョーコを推薦させて貰ったんだよ。
今後も彼女が出演する映画やドラマが日本で公開・放映されるとキミの仕事も増えるしWin-Winな関係が築けるんじゃないかと思ってね。どうかな?この仕事受けてみる気はないかい?声だけの演技の仕事も良い経験になると思うよ。』
エルトラさんが満面な笑みで私に説得してきて、社長と呉前Pも頷き、俵田さんも…
「京子さんやってみませんか?声優のお仕事。今後も役者活動続けたいんなら勉強にもなるし私からもお願いしたいです。アビゲイルさんの吹替やってくれませんか?」
皆からの説得に私は決心した。
「分かりました。声優のお仕事引き受けさせて頂きます!」
『推薦してくれてありがとうございます、エルトラさん。』
私は、エルトラさんに深々とお辞儀をした。
『いやそんなことないよ。君は、日本人キャストの為に色々と動いてくれたんだって?皆の英語のスキルを上げるために、全編オール英語セリフでの模擬撮影のキッカケまで作ったって言うじゃないか。そこまでしてくれたキョーコに何かしらのお礼はしなくちゃと考えた上でのオファーなんだからな。勿論、ちゃんと演技力を見ての判断だよ。』
『へ?私の演技エルトラさん見たことないですよね?』
『あるよ『CRISIS LIST』の完成版のDVDを一枚貰ってね一通り見せて貰った。ライヤーを演じてるキョーコを見させて貰ったよ。いやいや中々の演技力に圧巻のアクションシーンだったよ。今、季節の関係で中断してるって言う日本の時代劇の映画のメイキング映像も少しだが見せて貰ったよ。』
「呉前さん?いつの間にDVD出来てたんですか?」
「あくまでも模擬撮影作品ですから勝手にサブスク等ての配信とか出来ませんけど、関係者には配っていたんです。勿論Mr.Dにも渡してました。」
いつの間にか、日本で撮っていた全編オール英語での模擬撮影作品の『CRISIS LIST 』が完成していて色んな関係者にDVDを渡していたことを知らされて驚いた。
そして出演者の中で、唯一『ROUTE』のキャストに入っていない私の事が見た人の中で話題になっていたらしい。
それもあってレナード監督にも、ルートに何で出さないんだ?と詰めよった人もいたらしい。その関係もあって、私をせめて日本での公開に合わせて日本語吹替声優に採用しようと動いてくれたんだって。
その後、私は社長と一緒に応接室を出て歩いていた。
「良かったな、少しでもルートに参加出来て。レオが言ってたが、今回は諦めたけど次回作には最上君を使いたいと言ってたぞ。」
「え!?次回作?二部作目に出れるんですか?敦賀さんや琴南さんと共演出来るんですか!?」
私は、興奮してしまい思わず共演してる所を想像していると…
「おいおいまだハッキリと決まった訳じゃないからな!それにもしかしたら…アメリカ滞在中の撮影は、ビザの関係で参加出来ないが日本の映究スタジオでの撮影の際に参加して貰うかも知れないと、呉前Pから言われてる。」
「え?日本での撮影では参加出来るって…。」
私は、ビックリしてしまった。
「厳密に言うと、映画ではなく公式HPで限定公開するスピンオフのショートムービーへの出演をお願いしたいそうだ。」
ん?スピンオフのショートムービー?
「それって…ルートの登場人物になるんですか?」
「最上君には二部作への伏線を含めてある役を演じてほしいそうだ。ショートムービーと言うより、世界観や映画の見所を説明するスピンオフになるらしい。君には、映画のナビゲーターみたいな役割をしてほしいそうだ。一応、原作に登場するキャラクターでもあるらしいぞ。」
「ナビゲーター役…。」
「ああ、俺としては悪くない話だと思うけどな。映画本編に出なくても、映画の公開中は誰だってHPを見るだろうしそこで君の姿を世界中の人間が知ることになる。それこそ絶大な宣伝になるだろ。」
社長は、私の方をジーッと見つめて意外な事を言ってきた。
「にしても…君も、本当に面白いな。コロコロ姿変わるし、自分の出てる作品殆ど見ないんだって?エゴサーチもしないと聞いてるぞ。普通なら、その世代の子達はするもんだがな。
やっぱりどこか抜けてると言うか…別の意味で大物というか。あのプリンス・セディすら興味湧かせたんだからな。」
ワハハハ!と豪快な笑いをしてきた社長。
私ってやっぱり普通じゃないのかなぁ?
「それは兎も角、ナビゲーター役宜しく頼んだぞ!吹替声優の方もな!」
そう言うとスタジオまで来て、社長は入らずに別れて私はスタジオに入った。
すると、社さんが居たので直ぐそばへと歩いていって問い詰めたのである。
「社さん、もしかして呉前さんのお話知ってたんですか?」
「あ、やっぱりそうだったんだ。聞いた?吹替声優とスピンオフのナビゲーター役の話。」
社さんは頷き肯定した。
「良かったねキョーコちゃんも、ルートの仲間入り果たして。ちょっと心配だったんだよね。」
「心配って…。」
「ん~だってさ、皆が演技してるのをキョーコちゃん食い入る様に見つめたり、無意識に撮影ゾーンの方に足向けてる時も度々あったろ?それで呉前Pやレナード監督や演出家も気付いてたらしいんだよね、本当は出演したい気持ちが高いんじゃないかって。でもキョーコちゃんの性格上、ワガママ言ってこないだろうしアピールしてくることもないから不思議に思ってたらしいんだ。
それに、他の日本人キャストの為に自ら芸能活動を休んでまでサポートを勝手出る人なんて滅多にいない。
普通だったら自ら売って出たり、中には強引に役を奪ってでも映画に出てやろうって実力行使に出る人もいるのにキョーコちゃんは謙虚過ぎるって、そんな子のために何かしてあげたいって気持ちになっちゃった製作陣が多いんだ。」
はい?いつの間にそんなことに……そう言えば、少し年配のスタッフさん達(特におじさん)が私にやたらとお菓子くれたり、スタイリストのお姉さんがイメチェンした私に色々とアドバイスさてくれたのよね。
そー言えば、モー子さんと一緒に最初会った衣装係のおじさんも不躾な行為をしてしまってすまないって謝ってきたっけ。
「最初は、どうもセディがスタッフにまで手を回して日本人キャストに嫌がらせするようにしてたらしいんだよね。でも、やっぱりスタッフにだってプロ意識があるし言いなりになりたくないって人も多かったみたいなんだ。だから正直に監督や演出補にプロデューサーに直に相談した人も多かったみたいだよ。
中には、お祖父さんであるMr.Dに直接怒った人もいたらしい。それで彼から、一応厳重注意されたみたいなんだ。
それで取り敢えず嫌がらせは無くなって、少し落ち着いたみたいなんだよね。ほら最近、撮影スムーズにいってるだろ?」
「はい?そこまでしてあの人は何考えてるんですか!?どんだけ日本人のこと嫌ってるんですか?映画を台無しにでもするつもりなんですか?」
私は、益々セディが大嫌いになってきた。ショータローより達が悪い。
「本当に何考えてるんだか…😓」
私達が話し合ってると、モー子さんと敦賀さんのシーンが終わり私達の所にやってきた。
村雨さんと、恵さんに力也さんも一緒だった。少し遅れて、クロエとアビゲイルもやってきた。
「あんた何プンスカしてるの?」
「キョーコちゃん?どうしたの?」
私は、セディの事と吹替声優とナビゲーター役の話を全部話した。
「セディの事は、もう無視した方がいいよ。それよりも吹替声優とナビゲーター役決まって良かったね、おめでとう。これで俺達と仲間入り果たしたね。」
「良かったじゃない。あんたも本当はこの映画に参加したかったんでしょ。」
「やったな!京子ちゃんもルートの仲間入りだ!」(村雨)
「凄いじゃないナビゲーター役も美味しいわよ。」(恵)
「吹替声優なら俺も経験あるからアドバイス出来るぞ!」(力也)
皆が私の声優とナビゲーター役ではあるものの、キャスティング入りに祝福してくれて嬉しかった。
『まさか私の日本語吹替に選ばれるとはね。ビックリよ、確かに何か親近感覚えると思ってたのよね。私達、声が似てたのね。それならこれから私の出る映画やドラマが日本で公開されたり放送される時は、日本語吹替は専任でキョーコがやってくれるってこと?』
『うん、そう言ってた。出来れば、その方が私の演技の経験値も上げられるし仕事的にも互いにWin-Winになるからって。』
『はは、確かにね~。いいなぁ私にも専任のフィクサー声優欲しい!』
私達が和気あいあいと話してると、別のスタジオで撮影していたセディがいつも一緒にいる取り巻き俳優達とこっちのスタジオに入ってきた。
『また群がってるのか…』
ボソッと言ったのを私は聞き逃さなかった。村雨さんも同じく聞こえてたらしくて…
『おい!お前なぁ、いい加減にしろよ!』
村雨さんがセディに突っかかろうとした所を敦賀さんがとめた。
「やめなよ村雨君。」
「はぁ?敦賀君はなんとも思わないんかよ!コイツはスタッフにまで手を回して嫌がらせしようとしたんだぞ。」
「俺だって、その事は知ってるさ。いいから見てなよ。」
そう言いながら、敦賀さんがセディの前に歩んでいく。周囲は、ざわめき出して私は流石にまずいと思って敦賀さんの元に。
「待ってください敦賀さん!」
「キョーコちゃん?」
「ここは私に任せてください。お願いします!」
私は、敦賀さんの前に立ち塞がってプリンス・セディこと、セドリック・D・ベネットに言い放った。
『貴方は一体何がしたいんですか!?何故そんなに日本人を嫌うんですか!?』
私は、今まで誰も言わなかったことを敢えて聞いた。彼は、私の顔を見て黙っていたが漸く口を開くと…
『兎に角、僕は日本人が大嫌いなんだよ。全員降板して欲しいくらいだ。』
『その逆もしかりです。そんなに日本人が嫌いなら貴方が降りればいいでしょう。それに原作者の先生にも文句言ったらどうです?ルートの原作には、外見上アジア系の人物が沢山出てくる。それが映画となると日本人やアジア系の人達が演じるのは必然的になります。
呉前Pやレナード監督にもお聞きしました。原作に忠実に映画を制作して欲しいと言われてると、原作者から改変は許さないとも。貴方のワガママを許すと映画は作れなくなりますよ。』
私は、至極まともな意見を言ったつもりだった。しかし彼もまたとんでもないことを言ってきたんだ。
『原作なんて関係ない。アジア系の登場人物を全て黒人に変えて作り直して欲しいくらいだ。それならコンプライアンス的にも大丈夫だろ。原作者も頭おかしいんじゃないか?何でアジア系の登場人物を沢山出したんだか。
それに僕は、世界に名を轟かせる為に映画に出てるだけだ。映画の内容や役柄なんて二の次なんだよ。主題歌だって僕が歌う予定なんだし。話題性のある映画に出れば、益々顔や歌が売れて世界のプリンスになるんだからな。』
ニヤニヤ笑いながら話すその姿に、その場にいた人達は呆然とした。映画の内容や役柄を二の次なんて…
『主題歌を歌うのは、貴方ではありません。』
呉前さんがいつの間にか私の隣にいた。
『は?何だと!主題歌を歌うのは僕だって音楽演出の人間だって話してじゃないか!』
『あくまでも候補者の1人として上げていただけです。しかし先日、主題歌を歌う人物が決定しました。ここにいる京子さんです。』
「「はい!?」」
思いもよらずな発表にその場にいた全員が驚いた…って、私!?
「はははははははい~~~~💦!?何でうちが!?何故にどないして?吹替声優とナビゲーター役だけやないんか~~?」
私はパニくってしまい思いもよらず京都弁になってしまっていた。
『彼女は、かなりの歌唱力の持ち主なんですよ。日本で役者もしてるんですけどね、少し前まで出演していたTVドラマの打ち上げパーティーの時にカラオケ大会があったらしいんですが…この際に歌った動画をその時の監督さんが見せてくれたんです。
そしたらビックリしましたよ。全部オール満点。洋楽も歌っていて、歌唱力だけでなくイントネーションも完璧。もしやと監督と広報プロデューサーに音楽演出の人間や主題歌をお願いしてる音楽プロデューサーにも見せてみたんですよ、そしたら皆気に入ってしまいましてね。
彼女だったらと満場一致しました。京子さん、引き受けて貰えませんか?』
確かに、BOX"R"の打ち上げパーティーをカラオケBOXでやって皆でカラオケ大会したけど…。最初に、天城越え披露したらまさかの100点満点だしちゃって、次々と色んな歌を歌わされてまさかの満点続きだったから私もビックリしちゃったの覚えてる。
その事を思い出しながらボケ~~っとしている私に、英語のまま主題歌オファーまでしてきたのでビックリんこ😓
『そ、そんなバカな。何でPAをしてる人間に主題歌なんて頼むんだ!日本で役者してるといっても、名前だってこっちじゃ全然知られてないだろ!』
『確かに、キョーコはアメリカではまだそんなに名前は知られてない。しかし演技力は持ってる、役柄によって姿も変えられる、英語力もあるし不思議な魅力を持った人物だと俺は思ってるんだがな。だからこそ二部作目への打診だってしてるんだし。
セディ、そんなに日本人が嫌いなら無理して出なくていい降板して貰っても構わん。君の代わりなんて他にもいるんだからな。今やCGで顔だけを変えるなんて造作ない。別の俳優を使って撮影し直しても一部だけ変えればいいんだ、そんなに時間かからないだろう。文句があるなら撮影所から出ていけ!』
レナード監督がスタジオの扉を指差して、セディに降板を言い渡すと歯ぎしりをしながら黙って歩きスタジオから出ていった。
翌日から、セディは撮影所に来なくなった…。
正式に、映画降板が決まり別の俳優さんがセディが演じる予定だった役を演じている。
なんと無く顔立ちは、似ているけど気取った感じもなく私達日本人とも和気あいあいと接してくれた。
その後日本に帰国して、映究スタジオでの撮影も程なく進み日本で撮影はオールアップ。
私も、冬になり泥中の蓮の残りのシーンを撮り終わって。
12月も終わりになる頃…私の誕生日が近づいていた。
後編① に続く。
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思ったより長めになっちゃいましたね。カテゴライズすりゃ良かったかな😅?
セディを成敗したい話をどうしても書きたかったので、長めになってしまいましたね。
これからはどうしようかな?
あとキョーコにも、何かしらの形でルートに関係した仕事させたいなと言う気持ちがあったので、吹替声優とナビゲーター役に実際だったらあり得ない主題歌オファーの話を考えました。