今回は、三人称で展開させていただきます。キョーコと冴菜さんの前に現れた3人。はて?何で蓮とコーンが一緒にいるのか?
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「何でコーンがここにいるの?それにその格好は…何で甲冑姿なんかに。」
キョーコは、驚いてコーンに問い詰めた。
クー・ヒズリと敦賀蓮にコーンと思わしき青年は、皆似たような甲冑姿になっていたからである。ついでにマントも付いていた。
よく見ると、蓮とコーンは全く同じデザインの甲冑姿。
「あのね…キョーコちゃん、これには理由があって。それと…その…言いづらいんだけど…その…なんと言ったらいいのか😥」
困り顔をして歯切れの悪い話し方をするコーンを見て苛立ってるクー・ヒズリ。
「だーっもう!お前なぁ、ハッキリ言わんかい!俺が言ったるぞ、いいか?キョーコよく聞け、そいつは俺の息子の久遠だ!幼い頃、お前が会ったって言う妖精の王子様の正体だ!」
「はい?先生の息子さんはお亡くなりになってるんじゃ?」
ペシンっ!クー・ヒズリは、キョーコの額にデコピンを軽くかました。
「人の息子を勝手に殺すな!」
「だって~前に、大人になった姿を見ることが出来ないって悲しい顔をして言ってたじゃないですか~😭」
額を抑えながら少し涙ぐんで反論するキョーコ。
「そ・れ・は!コイツが本来の姿を封印して、敦賀蓮として活動してたから。顔は整形してねーけど、髪染めて目にはカラコン入れて日本人に成り済ましてたんだ!何故か黒髪黒目になると、俺の親父の若い頃にそっくりになるんだ。だから兄貴の息子である、こっちの悠人と瓜二つ!まるで双子みたいになっちまうんだよ!」
指差した方にいる、誰が見ても敦賀蓮にしか見えない青年。
クー・ヒズリは、自身の甥っ子だと言ってきた。
「はえ?敦賀さんじゃない…で、でも背格好も同じだし顔も殆ど一緒…体格も変わらないような?」
キョーコは、蓮だと思っていた人物がハトコの悠人だと説明されると、その悠人が寄ってきた。
「久しぶりやなキョーコ。滋賀のおばあちゃんの家で夏休みに遊んだ時以来やな。大きくなって、しかも美人さんになったやんけ。」
満面の笑顔で京都弁で話しかけてきた悠人。
「ほえ?敦賀さんじゃないの?あれ?どー言うこと!?コーンって妖精の王子様じゃなかったの?クー先生の息子?何でなんで?どないなっとるんや~ワケわからん~😭!!」
キョーコは、とうとうその場にしゃがみこんで泣き出してしまい周囲を動揺させてしまったのである。
一旦撮影は、中断してしまい泣きわめくキョーコを控え室になってるトレーラーハウスに連れてって落ち着かせて全てを説明した。
蓮が素性を隠していた本当の理由を。そして父親である、クー・ヒズリにアメリカに帰ってきた時に、幼き頃にキョーコと出逢っていた事を話したとも。そして先日、自身の公式ブログにて素性を世間にカミングアウトしたことも。
「本当にごめんキョーコちゃん。妖精の王子様なんて嘘をついてしまって…あまりにも信じきってる幼い頃の君を見て…夢を壊したくなくてずっと妖精の王子様であるコーンを演じてたんだ。いつかは言おうと思ってた。でも中々タイミングがなくて言えずにいたんだよ。」
「そうしてたら日本の映究スタジオでのルートの撮影が終わりかけた時にトラブルが起きたんだ。」
途中で、社マネが話に参加してきた。
「トラブル?」
「そう。セディが日本での撮影方法に何かとイチャモン付けてきてさ。更に、大嫌いな日本人キャストとの共演がやっと終わった、これ以上一緒にいるとストレスが溜まる一方だから俺の録り分は終わったからさっさとアメリカに帰らせて貰う。って嫌味な顔で、皆の前で言い放ったんだ。そしたらとうとう村雨くんがぶちギレてセディに殴りかかろうとしたんだよ。でもそれを蓮が止めたんだ。」
「セディは、俺たち若手の日本人俳優とは撮影以外では全く話すことはなかったんだ。ハリウッドの撮影でもそうだったろう?日本での撮影になると更に苛立つ言動が目立っていたんだ。クロエとアビゲイルにケニーは、俺たちと隠れて話すことはあったけどそれも気に入らなかったらしい。
日本人キャストは、事務所に甘えて自分で仕事を取ろうとしない。甘えん坊な赤ん坊と同じだ。そんな奴らを僕は役者として、認めないってね。そんな事も言ってきたもんだから、村雨くんだけでなく日本人キャスト全員が怒ってきたんだよ。」
↓ここから回想シーンとなります。
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『ふざけんな!俺達だって色んなオーディション受けてるし。自ら売り込みに行くことだってあるさ!このルートに配役されたのだって、呉前EPとレオ監督の前で演技テスト受けて最終的に決定したんだぞ!』
『そうよ!芸能事務所だってなければ日本では活動が難しいのよ!中にはフリーランスや個人事務所だけでやってる人もいるけれど、日本では少数派。芸能事情は、国によって違うでしょ!アメリカがスタンダードだって誰が決めたのよ!!』
『言っとくが日本の映画だって近年は、様々な国際映画祭で賞を受賞している。世界に名を轟かせた名監督や名俳優だって少ないがいるんだが?それはどう思ってるんだ。』
村雨秦来と恵エミリアが食って掛かってきた。他の日本人キャストも様々な意見を放ち騒然としてしまったのである。
そしてぶちギレて殴りかかろうとした村雨秦来の手を止めたのは蓮だった。
「そんなことしたら君の俳優人生終わるよ村雨君。」
「で、でもコイツが俺達の事を罵倒してきたのは事実だし。」
2人の様子を見て腕を組み下目に見てる、セドリック・D・ベネット。先程の、話を聞いても納得が行かない様子だった。
『でも事務所に甘えてるのは事実じゃないのか?言っとくが映画やショービズの本場はアメリカ、ハリウッドだ。日本なんて狭い島国の映画なんて歴史浅いだろ。アニメーションやコミックにゲームばっかり、そんなのしか世界中に認められないマニアックな国のクセに威張ってるんじゃないよ。』
セディの知識の無さに蓮は思わず笑ってしまった。
『それなら聞くが、世界初の映画は何処で何年に公開されたか知ってるのかな?』
『は?何言ってるんだ、アメリカのハリウッドに決まってるだろう!何年かなんて知らないよ。でも映画の本場はアメリカなんだからハリウッドなのは当たり前だ!』
そのセディの自信を持った言い草に一部の人間は、笑っていた。
『映画が世界で初公開された国はフランスだよ、1895年12月28日のパリ。リュミエール兄弟によって作られた。日本はそれから少し後の1899年の京都で初公開、アメリカのストーリー映画としての初公開は1903年なんだけどね。君が嫌ってる日本の方が先なんだよ。俳優業を生業にしてるのに知らなかったのか?』
蓮が勝ち誇ったかのように言い放つと、セディは顔を真っ赤にしてきた。
『な…ふざけるな!そんな映画の歴史なんて知らなくったって俳優なんて出来るだろうが!おい!お前らコイツをぶちのめしてやれ!2度と面が拝めないような顔にしろ!』
セディは、近くにいた取り巻き俳優達に命令した。だが、誰として動かない。
『何してるんだ!さっさとやれよ!祖父であるMr.Dに言って芸能活動出来なくしてやるぞ、いいのか!?』
その命令にも従わない。アメリカ人キャスト達は、セディの言うことに反論もしなかった。完全に無視をしている。
どちらかと言うと冷ややかな目で見ていた。
『まだ分からないのか?お前の命令なんて誰も聞く義務なんてないんだよ。本当に相変わらずの甘えん坊なんだな昔から変わらない。しかも自分の手を汚したくないって他の人間にやらせようとしたり、俺のこと散々ミュータントだなんて言っといて、お前こそ祖父や両親のネームバリューで仕事して恥ずかしくないのか?』
蓮は、そう言いながら両目からカラーコンタクトを外して静観な顔付きをして言い放った。
『その目の色…その話…まさかお前!?』
セディは、冷や汗をかいている。
『ああそうだ、お察しの通り。お前の従兄弟の久遠・ヒズリだ。全く気づかなかったみたいだな。これで証明出来たな、俺は何人にもなれないミュータントじゃない。何人にもなれる、演じれる俳優として成長した。』
2人の掛け合いに周囲は騒然とし始めた。
「へ?あ?敦賀くん…君、日本人じゃない?目の色が緑色?久遠・ヒズリって…クーの息子と同じなんだけど…セディとイトコって~~!?マジですか~~💦」
村雨秦来が頭を抱えて狼狽え始めたのである。
そしてスタジオ内に、ある人物が入ったきた所で静けさが訪れた。
『もうやめなさいセディ。久遠も、もうそれくらいで構わないだろう。』
そうやってきたのは、2人の祖父であるMr.Dことエルトラ・デュリスであった。
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「その後が更に凄かった。またスタジオ内が騒然としちゃって。なんたってMr.Dがセディと絶縁宣言しちゃったんだし。」
「絶縁宣言!?」
「そうそうエルトラの親父さんがさ、もうこれ以上デュリスの名前を傷付けるな!利用するな!名乗るな!ってな。セドリック・ベネットとして活動して金輪際、私や自分の両親の名前を利用して芸能活動するな!お前も久遠を見習って、自身の実力だけで仕事を取ってみろって言い放ったんだ。そうでなければお前とは絶縁するって皆の前で宣言しちまったんだよ。そうしたら意気消沈しちまってその場に項垂れる始末。結局エルトラさんが無理やり連れてってアメリカに帰国させたんだ。んでその日の夜に、コイツの公式ブログで素性カミングアウトさせたんだよ。元々、そろそろ素性バレしてもおかしくねーなと思ってたんで俺から動いたんだ。」
クー・ヒズリも同じ場所に居合わせていた事を話す。イギリスに発つ前に日本に立ち寄って、久遠と一緒に行こうと画策していたらしい。次いでに故郷の実家にも行ったら留学先から一時帰国していた悠人を見つけて奥多摩の撮影所に連行。
素性カミングアウト計画には欠かせない人物だと言うことで連れてきたとのこと。
「ったく、俺まで巻き込んどいて何考えとるんやこの親子は。しかもキョーコの事も騙しよって!ホンマにええんか?コイツで何やったら俺に切り替えへんか?キョーコ。顔立ち一緒やし、俺の方が包容力あるんちゃう?ハトコは結婚出来るし。俺は構へんけど?」
急にキョーコの事を口説き始めた悠人。そうしたらずっと黙り込んでいた母親、冴菜の怒号が放たれた。
「何考えとんねん!このアホンダラ親子と甥っ子は!娘口説くな!!妖精の王子様!?何騙しとんねん!あんたも何で同じ京都嵐山出身で最上姓なのにうちの娘やって気付かんとったんや!アホかお前は!赤ん坊のキョーコ抱いて写真撮ったことあるやろが!」
「いやぁ、最初は単なる同姓の別の家庭の子かなぁくらいしか思わなかったんだよな。ほら他にも最上姓の家が幾つかあるじゃんか?でも帰国する前の晩に一応、親父に電話して聞いてみたら冴菜さんの娘だって教えられてさぁ、でも話さずにアメリカに帰ったんだ。もし知られると七光りとかコネとか言われる可能性あったしな。久遠みたいになっちまうと嫌だったし。少し落ちついたらとうなんだよ冴菜さんよ?」
クー・ヒズリの説明にキョーコは少し複雑な気持ちになってしまった。
「まあまあ、クーさんの、言う通りですよ。お母さん落ち着いてください。」
父方の従弟であるクー・ヒズリと、代理マネの松永に認められて何とか落ち着いてきたキョーコの母親であった。
⑥ に続く。
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まさかの口説きにかかった悠人くん。
その様子に最上川が決壊(笑)
3人が衣装を着てるって事は?撮影に参加するってことですね。
さてさて次回は、漸くちょっとファンタジーな要素が入るお話になります。