「ああ、もうこんなに大泣きして涙でぐちゃぐちゃになってるよ。でもそんな君も可愛いけどね😊」

私は、大泣きしてしまい敦賀さんに抱きついていた事に気付き慌てて直ぐに離れたけど……

「こら逃げるな。もう少しこのままでいさせてお願いだから。」

またまた抱き締めてきて離れない敦賀さん。

そんな時にテーブルに置いていた敦賀さんのスマホが鳴り、残念そうに私から離れて電話に出ようとしたら何だか慌てた様子で私の事を見てきたけど、直ぐに電話に出た。

「はい、もしもし。はい敦賀です……え?はい…………ええ俺の家にいますが…俺の家に向かってるんですか?え?今、この階に着いたって…ちょっと待ってください開けますので、待ってて下さい!」

「敦賀さん?どうしたんですか?何か慌ててるみたいだけど……。」

「あの…キョーコちゃんのご両親が帰ってきて、家の中にいないからもしかしたら俺の所に来てないか?って電話で聞いてきたんだよ。いるって教えたら、直ぐに家を出てエレベーターに乗りこんだらしいんだ。何かお母さんの様子がおかしいらしくて、藤堂さんが慌てて電話してきたんだよ。」

「え?お母さんが?」

どうしたんだろ?急に。様子がおかしいって何かあったのかな?
私と敦賀さんが玄関に駆け寄って開けて廊下に出ると、直ぐ近くまで両親が来ており、お母さんが物凄い目付きで敦賀さんの目の前で立ち止まった。

すると、いきなり敦賀さんの両耳を摘まみ……

「身内まで騙すなんて、何考えとるんじゃい!!ど阿呆!!この似非日本人が!!」

思わず私も敦賀さんもお父さんまで目を点にして驚き呆けてしまった💧

「っ痛~💧いきなり何ですか!?」

敦賀さんが両耳からお母さんの手を離しながら言うと…

「さっき帰りの車の中で京都に住む伯父から電話が来たんや!キョーコも聞きなさい!!今迄黙ってたけれども、この人は私の母方のイトコである、ハリウッド俳優クー・ヒズリの息子の久遠・ヒズリ!あんたとはハトコ同士になる親戚のお兄さんや!!その、緑色の瞳がその証………って何でカラコン外しとるんや?ん?あれ?」

お母さんがその話を知ってるって、電話してきた伯父って……もしかしたら……💧

「その事だったら、もう知ってる。さっき敦賀さんが教えてくれたし。それに私達、子供の時に親戚とは知らずにとある場所で偶然出会ってて、ほんの一時期だったけれどよく一緒に遊んでた事があるの。」

私がその事を話すと今度は、お母さんが目を点にしてしてきた。敦賀さんに右手の人差し指を向けたまま。

「え!?キョーコちゃん久遠君と子供の時に会ってるのか?まだ物心つく前の幼児期には何度か会ってるってのは俺も知ってるけど…まさか別の場所で会っていたとはねえ。こりゃあびっくりだ。漫画みたいな話だな。」

「あの……さっき電話がかかってきたって言ってましたよね?伯父からって。俺の祖父からですよね…?」

冷や汗を出し苦笑いしながらお母さんに聞く敦賀さん。
するとプルプルと指先を震えさせながら、お母さんが口を開いた。

「佐田権佐衛門……そう名乗ったって言うてたわ。娘に💧」

ほえ?佐田権佐衛門……?その名前には覚えが会った。

確か……『泥中の蓮』の撮影で京都の嵐山に戻ってきた時に、雨でロケ中止になっちゃって1日だけ暇潰しに1人で地元でも有名な老舗の甘味処でお茶してたのよね。

その時、店内は満席で相席をお願いしてきた着物を着た品のいいお祖父さんがいて一緒に食べながらお話していく内に仲良くなって、暇な時にでも一緒にお茶せえへんか?って言われてお茶友達になった人だった。

先に私がお店を出ようとして、名前を聞いたらちりめん問屋の隠居の佐田権佐衛門って名乗った時、時代劇に出て来るような名前ですね。って言ったら何だか周りにいたお客さん達が、椅子から転げ落ちたり中にはスッ転んだ人もいたっけ。
翌々思い出してみると、変な行動とった人達って地元の人だけだったような?

他の観光客や外国人のお客さん達は、逆にその行動にビックリしてたわね。

「佐田権佐衛門って言う人…私、会ってるんだけど……ま、ましゃか……あの時のお祖父さんって💧」

私は、こめかみに指を当てながらお母さんに聞いた。

「そのまさかや。あれが私の母方の伯父にして、キョーコの大伯父。そして!この男の祖父でもあり、クー・ヒズリの父親である作家・九重日出晴!本名、繁縷春臣!!その人や!!」

「作家・九重日出晴…………何処かで聞いた事あるような?あれ??確か、ダークムーンの原作小説『月籠り』の作家先生の名前と同じ?」

「同じじゃなくて、同一人物だよ。俺のお祖父さんは『月籠り』以外にも沢山映像化された作品を世に出してる、大作家。父さんも昔『月籠り』がドラマ化する時に、オーディション受けて嘉月役をゲットしたらしいけど、ドラマが終わった後に九重日出晴の息子である事を公表して、芸名『保津周平』の葬儀を行いハリウッドに売って出たんだ。まぁ中には知ってる人もいたんだけどね、世間には公表してなかったんだよ。芸名の葬儀の時は、既に結婚していて俺も生まれていたし。結婚式は身内だけでやったらしいから。」

敦賀さんの口から放たれた話に、私はビックリしてしまった。って事は親子2代に渡って、主人公を演じたって事になるわよね。
しかも、リメイク作のダークムーンでは孫姪に当たる私が美緒役をやってたって知られるとコレってコネ使って役をゲットしたと言われかねないかも…。
森住仁子さんの事、他人事って言えない~~~~😵💦

「嘘でしょ~~😵💦そんな事バレたら絶対に七光りやコネって言われちゃう~~!!」

私は、思わずその場にへたり込んでしまい頭を抱えてしまった。

「ちょっとキョーコちゃん落ち着いて。あのこんなところで長話もなんですから中に入ってください。」

とりあえず、敦賀さんのお家の中に入り話の続きをすることになった。その前に私がお茶の用意をすると言って台所に行ってテキパキとお茶の用意をしていたら…

「キョーコちゃん、何でそんなに他人のお家の台所でテキパキと動けるんだ?何処に何があるのか目にとって分かるような動きだぞ。」

藤堂さん…じゃなくてお父さんが眼鏡に手をやり聞いてきた。何かキラーンと光ったような目付きだけど💧
その事にお母さんも疑問を感じた様子で。

「確かに…玄関に入った時もスリッパを直ぐにしまってある靴箱から出したわね。それにこのマンションに越してきた時に、最上階に敦賀蓮が住んでるって教えてきたのも貴女だったわね。知ってないと言えないことよね?どー言う事かしら?キョーコ?久遠君?」

トレイに全員分のお茶を用意してローテーブルに持ってくると、お母さんがギロリとした目付きで敦賀さんに聞いてきた。何か怖いんですけど💧

「え?ああそう言えば言ってなかった。ラブミー部への依頼で去年、社さんが風邪でダウンしちゃった事があってその間だけ代マネをした事があって。その風邪が移って敦賀さんまで風邪引いちゃったものだから、泊まり込みで看病した事があったんです。」

それ以外にも演技の相談やレッスンをしてもらったり、食事依頼を受けたりプライベートでも何度か来たことがあると伝えたら、二人とも敦賀さんをジーっと見つめて項垂れた。

「よく今まで記者に撮られなかったわね。」

「まあ、それだけここがセキュリティのしっかりした所でもあるって証拠だけどな。」

「すみません。よく考えてみれば軽卒な行動でしたよね。年端のいかない女の子を自宅に招き入れてたんですから。しかも何度か泊めてもいるし。」

ぽかん!!

隣にいたお母さんが思わず履いてたスリッパで敦賀さんの頭を叩いた💧

「仕方ないでしょう。いきなり真夜中にやって来てモデルレッスン受けたいなんて言ってきたもんだから泊めるしかなかったし。代マネの時は、風邪で動けなくなっちゃったもので……💧」

「キョーコ貴女も貴女よ!コレも若い男なのよ!!身内とはいえ一応、警戒なさい!!」

何か敦賀さんに対するお母さんの行動が、何かざっくばらんになってるような気がしてきた。
旗から見ると息子をしかる母親のように見える💧
よく見ると、二人とも横顔が何と無く似てる。何で今まで気づかなかったんだろ?

18へ。

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とうとう冴菜さんと藤堂さんにも知られちゃいましたね。
まさか蓮くんのお祖父ちゃん、先に話してしまうとわ(笑)
さてさて、これからどうなるのかな??

2018.11.6 一部修正