祖父からの電話が切れた後、俺はソファーに寝転び天井をボケーっと何も考えずに見ていた。
暫く経つと………
ピンポーン🎵
玄関からチャイムが鳴り響き我に帰り、インターホンの画面を見るとキョーコちゃんが来ている事に気付いて急いで玄関へと行き勢いよくバン!っとドアを開けた!
「うきゃっ!ビックリした~。」
「え!?ああ、ごめんね。勢いよく開けちゃって。どうしたのこんな遅くに。」
良く見ると、彼女の持っている手提げ袋からいい匂いがしている事に気付いた。
「あの…夕御飯、食べられました?」
「いや、まだ食べてないけど…これから適当に食べようかな?と思ってた所だったんだ。」
「因みに何を食べようとしてました?」
キョーコちゃんは、シラーっとした目付きで言ってきて正直に
「傾向補助食品のクラッカーが買い置きしてあったんで、それとヨーグルトと水でもと思ってた。」
と言ったら、ため息をついて呆れた顔つきで俺をしたためてきた。
「また、そんなの食べようとしてて!ダイエット中の女子高生ですか!貴方は!!もしかしたらと思って作ってきて正解でしたね。これ、良かったら食べてください。」
差し出した袋の中を見ると、タッパーに入った肉じゃがと温野菜サラダと蕪の漬物が入っていた。いい匂いがしたのはこれだったんだな。
「あ、ありがとう。ご両親にもよろしく伝えてね。」
「いや、その…両親は今日仕事が忙しくてまだ帰ってないんです。近々、公判を控えてる事案があって先日、試験の面談に一緒に来てくれた分、調整しなくちゃいけなかったから。ご飯は、すまないけど1人で何とかしてくれって言われたんです。」
うつ向いて少し悲しげに言ってきたキョーコちゃんを見て、しまった。と後悔してしまった。
昔を思い出させてしまったかも知れないな。今は、両親と暮らしてるけれど、それでも二人は忙しい職種だし。
「ああ、そうなんだ。だったら一緒に食べない?互いに1人で食べるより美味しく感じられるしね。どうぞ。」
「いいんですか?入っても?」
「ここに引っ越してくるまで、何度も俺の家には来てるじゃないか。」
そう言って俺は、キョーコちゃんを家の中に招き入れ一緒に夕御飯を食べることに。
翌々考えてみると持ってきてくれた、料理は俺1人が食べる分には多くて二人分くらいあったんだよな。
もしかしたら本当は、一緒に食べたかったのかも?なんて期待を持ってしまっていた。
食事を終えて俺が入れてあげたミルクがたっぷりはいったコーヒーを飲んでいると、先程の祖父から聞いた話が気になってしまい疑問に思った事を聞いてみることにした。
「あのさキョーコちゃんにちょっと聞きたい事があるんだけど、いいかな?」
「いいですけど…その前に私も聞きたい事があるので質問していいですか?」
逆に俺が質問される側になってしまい…
「何で私の事をいつの間にか"キョーコちゃん"って名前で呼ぶようになったんですか?前は"最上さん"って名字で呼んでいたのに。何かそう呼ばれると、むず痒くて😳」
そういえば、理由話してなかったな。俺が、"最上さん"ではなく"キョーコちゃん"と呼ぶようになった訳。
あれは、最上さんが紅葉役をゲットした数日後の事だ。
ウェディング雑誌のCMの話が来る前の前日の話でもある。
TBMのトーク番組にゲスト出演するためテレビ局にやって来た俺は、社さんより先に楽屋へと向かう際見覚えのある後ろ姿を見て声をかけようとした人物がいた。
正確には人物と言うより、着ぐるみだったんだけど。
コック服に身を包みフリフリとお尻を振りながら歩く後ろ姿。ブリッジロックの3人と一緒に歩いた、人気番組『やっぱり気紛れロック』のマスコットキャラクターの坊だ。
その時の会話を俺はたまたま聞いてしまい、ビックリしてしまったんだ。
↓ここより回想になります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「キョーコちゃん、今日の料理も旨かったよ!」
「本当、食わず嫌いの食べ物をああも簡単に食べさせられるなんてなぁ。」
「キョーコちゃんってプロの料理人に負けてないね!」
今の会話って……"キョーコちゃん"って。言ったよな?
聞き間違えじゃないよな?
俺は、4人に気付かれないようにコッソリと尾行してみると、ブリッジロックの控え室の前で鶏の頭を外し一緒に入っていく見知った顔をはっきりと見たんだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そう、鶏の中にいた人物は最上さんだった。
後で番組のスタッフに聞くと、番組が始まった初回放送からずっと彼女が坊の着ぐるみに入って仕事をしている事を知り驚いた。
映画の撮影中は、LMEの養成所に通う子達がコレも仕事の内だ!と授業の一環として着ぐるみ仕事を体験しろ!と社長が直々にやって来て命令して、交代制で代理をしている事が判明した。
って事は、初めて会ったときも最上さんで、恋愛相談に乗ってくれた事もあの娘だった。という事になる。
俺は、頬を赤らめて笑ってしまった。好きな女の子に恋愛相談って……何やってんだって。
でも、最上さんは何も言ってこない。坊に入っているのは私だって。好きな女の子は、4歳年下の高校生だとハッキリ言ってるのに。その時点で知らぬ間に告白していたなんて。
でも、それが最上さんでなく。何故か、一昨年ドラマで共演した森住仁子さんでないか?と彼女が好きなんですか?って琴南さんに聞かれた時も驚いたな。
理由がバレンタインのお返しにプレゼントしたピンキーリングだとも言われて、おねだりされたから仕方なしにあげて、好みのタイプではないとも正直に言ったけれど…眉間に皺寄せて無言で立ち去っていったっけ。
でも、それが原因で少しあの時タンポポの指輪を填めてあげた時に見せた傷付いた顔の意味が分かった気がしたんだ。もしかしたら、最上さんは俺の事を男性として意識しているんじゃないか?って。
バレンタインのお礼をしたのに気付いていない事も社さんから聞いて改めて、ちゃんとした物を購入したけれど未だに渡せてない。タイミングがなくて渡せず終いだ。
それもあって俺は賭けに出ることにしたんだ。俺が好きな女の子が最上さんだって気付かせるように、あらかさまな行為を取るようになった。
まず始めに呼び方を変えたら、顔が真っ赤になることに気付いたので、コレはいい方法かも。とそれ以来下の名前で呼ぶことを徹底した。
「……賀さん、敦賀さん!?聞いてます!?理由教えて下さい!!」
ずっと思いだし考えに耽ってしまっていると、いつの間にかキョーコちゃんの顔が間近にきている事に気付いた。
「そうだね、その前にお礼言わないとね。てんてこ舞いの意味ちゃんと教えてくれてありがとうキョーコちゃん😊」
「え!?………………………………………………何でその事を…………ま、ましゃか…………💧」
「それともこう言うべきかな?鶏君?坊君?すっかり騙されたよ。着ぐるみの演技まで出来るなんて、最高の女優さんだね。」
「すすすすすすスミマセンでした~~~~~( ノ;_ _)ノ!!」
目が点になり、次第に顔が赤くなっていき終いには土下座までしてきたキョーコちゃんだった💧
→16へ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
蓮君がキョーコちゃん呼びする理由は、坊バレでした😁
こんな形で外堀から埋めようとする男です(笑)