キョーコちゃんがスキップ制度での卒業が内定したその夜、帰宅し夕食でも食べようと思って冷蔵庫を開けた瞬間、俺のスマホが鳴ったので出ようとしたら…画面を見て驚いた。
もう何年も会っていない人物の名前が表示されていたからだ。
それは京都に住む祖父からの電話だった。
「もしもし…今晩は敦…じゃなくて久遠です。お久しぶりですお祖父さん、今晩は。何ですかこんな時間に、急に電話なんてかけてくるなんて何かあったんですか?」
『久しぶりやな久遠。すまんなこんな時間に電話かけてもうて。ちょっとなぁ困ったことが起きててな、お前に伝えておこうと思って電話したんや。今、大丈夫か?』
俺は、自宅に帰ってることを伝えると話を祖父は続けてきた。
『いや…そのな、お前最近ダークムーンで共演しとった美緒役の女優の京子さんと仲ええやろ。結婚式のCMも見たで、綺麗やったなぁキョーコちゃん。演技もよかったし、流石!雪菜の孫娘!血筋かもしれへんな。』
「は?血筋って…どういう事ですか?雪菜って誰?」
俺は、頭の中がはてなマークで一杯になってしまった。
『その…実は、ずっと黙っといたんやけど……キョーコちゃんのお母さん、最上冴菜さんは…最上家に嫁いだワシの妹の娘。姪っ子なんや!だからその娘である、キョーコちゃんはお前とはハトコ同士になるんやなぁこれが、ワハハハハ( ̄▽ ̄;)!!黙っててすまんかった!!』
……………………………………………………………………………………はあ?
今何て言った……??
祖父の突然の話に頭が真っ白になってしまった俺💧
『もしもーし、聞いとるか~~久遠!?』
祖父の声にハッと我に返り、スマホをテーブルに置いて頭を抱えて俺は思わず大声で…
「ちょっといきなり何なんですか!?はあ?俺とキョーコちゃんがハトコ!?お母さんの最上先生と父さんがイトコ同士って事!?何で今まで、そんな大事な事を黙ってたんですか!?」
『うわっ!やっぱり覚えてないんやな…💧かなり幼い頃やけど、冴ちゃんとお兄さんの京介君ともキョーコちゃんにも会っとるんやで久遠。写真も一緒に撮っとるし。』
「全然覚えてないですよ!一体何歳の時の事ですか!?」
『お前が3歳の時や。キョーコちゃんがまだ不破家に預けられる前は、暫く繁縷(ヒズリ)家で面倒みとった時があるんでな。クーが日本に里帰りした時にもいたんで一緒に撮ったんや。因みに、甥っ子の京介君とも一緒に写っとる写真もあるで。』
ウソだろ……?全く見に覚えのない俺。そんな小さい頃の事覚えてる人の方が少ないって…💧
『その、冴ちゃんのお兄さん。キョーコちゃんの伯父でもある、ワシの甥っ子でもある京介君なんやけどなぁ。
ワシの若い頃や亡くなった父親で幼馴染でもある八雲の若い頃にも、よう似てて敦賀蓮としての姿と瓜二つなんや!コレがまた!!
不思議やな、親戚でもないのに。八雲ってのは、冴ちゃん達のお父さんでなキョーコちゃんのお祖父さんになるやけど…どういう訳かワシと顔がソックリで、子供の頃にそれがキッカケで知り合って友達になったんや。髪と瞳の色は、八雲の方が茶色くて明るかったけど顔立ちは全く一緒やった。』
「え?親戚でもないのに顔が似てるって……しかも髪と瞳の色が違うってどういう事ですか?」
俺は、気になるフレーズがあって思わず聞くと。
『ああ、最初に知り合ったのは妹の雪菜の方なんや。
確か……雪菜が6歳くらいの時やったかな?家から少し離れた所にある森の小川でな、八雲が1人佇んでいる所に出会ったんだと。
しかも最初、八雲の事を外国の絵本で見た妖精の王子様がいた!って言ってきてワシの所に連れてきて紹介してくれたんよ。あの時の事は忘れもしれんなぁ、家族皆して笑いよったし。懐かしいなぁ。』
え………?俺と、キョーコちゃんの出会いと全く同じ??
もしかして場所も一緒……?
少し違うのは、家族に会わせている事だけ……偶然かな?
『実はなぁ、八雲の母親は英国人でな。当時では珍しいハーフやったんや。京介君と冴菜ちゃんは、見た目は殆ど日本人やけどクォーター。
しかもキョーコちゃんの高祖母にあたる人も日仏ハーフやし何故か最上家は、国際結婚が何代かに渡ってしとる珍しい家でな。だからキョーコちゃんにも外国人の血が流れとるで。本人は、知っとるか分からんけど。教えてないかもしれへんな。』
そうかそれで不破のプロモに出た時の天使の姿にも違和感がなかった訳だ。外国人の血が入っていれば、外国人に寄せる事も可能かもしれない。
『そうそう話の本筋から離れるところやったわ。その京介君から電話が来たんや、そろそろ日本に帰国しようと思ってるんやけど気になる事があって、日本に俺の若い頃にソックリな敦賀蓮って言う俳優がいるけど…あれって冴菜の隠し子か?って聞いてきたんよ。
黙っといても仕方がないんで、お前の素性話しといた。』
ガンッ!!
その話に俺は、テーブルにオデコを思わずぶつけてしまった。
「はあ!?話したって、どこまで話したんですか!?」
『全部や。クーの息子の久遠が15歳の時に日本に来て髪染めて瞳にカラコン入れて"敦賀蓮"として俳優とモデルの仕事始めたって事をな。最初、その姿見たら京介君ソックリやなと思ったけれど…まあ何とかなるやろって黙っといた。』
おい……😒💢💢
その時に教えてくれればよかったのに。整形すればよかった…💧
『おーい久遠、社長さんから聞いたけど。冴ちゃん同僚の藤堂先生と籍入れた後にキョーコちゃんとも一緒に、お前と同じマンションに住んでるんやて?キョーコちゃんは、所属してる事務所も一緒だし、やはり身内を騙すのはどうかと思うてな。
ちゃんとお前から素性を告白して、話すべきやと思うんや。どないする?
地元でも、変な噂が流れとるしなぁ。何とかワシが地元だけに留まらせて、広まらないようにはしてるけど。』
そんな事言われても、どうすればいいんだ💧
『キョーコちゃんとは、もうすでに直に会っとるしな。
映画の撮影で嵐山にやってきてな、たまたま撮影がない日に偶然1人でいる時に甘味処で一緒になって茶飲み友達になったんや。
その時は、キョーコちゃんもワシの事気付いておらんかったんで、ついイタズラ心が出てもうてな、ちりめん問屋の隠居の佐田権佐衛門と名乗ったら…あの娘、信じてもうたんや。周りにいた地元の人達はスッ転んだわ。』
ゴンっ!!
またしてもオデコをテーブルにぶつけてしまった俺💧
『だははは!キョーコちゃんが店を出た後もう皆から突っ込まれたわ。京子の大伯父さんだろ!って。何が佐田権佐衛門だ!!って。』
「何を考えてるんですか…💧ん?ちょっと待て!何で地元の人達、お祖父さんの事をキョーコちゃんの大伯父って知ってるんですか!?」
『知ってて当然やろ。キョーコちゃんが幼い頃は、ヒズリ家にいたし、その後は不破家に預けられるようになってからは"小さな仲居さん"って言われて評判になって地元ではちょっとした有名人だったからやな。
更に言わせて貰うと、この事知っとるの30代から40代以上の人間が多い。逆に若い子は知らん者ばかりや。
だからイジメにおうてたんやな…ワシらが気付いていればよかったのに悔しくてしょうがあらへん。』
お祖父さんも見てたのかあの会見を。確かに悔しいだろうな。でも何で近くにいる親族のヒズリ家に預けず赤の他人である不破家に預けたんだろう?
お祖父さんの事も気付かないってのも不思議だな。何か理由でもあるんだろうか?
『辛気くさい話してすまんな。話は戻るけど、そんときにな地元の人達に頼んだんや。もしまたキョーコちゃんが地元に戻ってきてワシと会っといても、大伯父であること話すな!って脅しといた。ちりめん問屋の隠居の佐田権佐衛門として扱ってくれと。
お前が素性を世間にカミングアウトするまで待ってやる。とりあえずキョーコちゃん達にだけには素性話すんやで!分かったか久遠!?』
祖父からのいきなりの電話から、突然のキョーコちゃんとの身内宣言に驚いてしまった俺……💧
好きになった女の子がハトコだったなんて、マンガみたいな展開に頭がついていけなくなってしまっていた……😥
→15へ。
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ちょっと読みづらいかも知れませんがすみませんです。
さてこのお話しで、蓮君のお祖父さん出てきましたね。
少し『2人のヒミツ』とも重なる設定を盛り込んでありますが、コチラのお祖父さんの方が面白い性格しております。
ここで注目したいのは、お祖父さんが名乗った『佐田権佐衛門』なる名前。
仲村佳樹先生のファンなら分かる名前です。
前作のキャラから引っ張ってきますた(笑)