小学5年生のクリスマスに
りくは私に言った。

「欲しい本がある」

「○君が、最近
休み時間にいつも読んでいる本があって、それがとてもおもしろいと言っている」



「生きて、 

必ず生きて帰る。

妻のそばへ、娘の元へ」


涙を流さずにはいられない

男の絆、家族の絆。

「俺は絶対に特攻に志願しない。

妻に生きて帰ると約束したからだ」


「真珠湾に参加するとわかっていたら、結婚はしませんでした」


「零戦はかつて無敵の戦士でしたが、今や――老兵です」


「私には妻がいます。妻のために死にたくないのです」


「私は帝国海軍の恥さらしですね」



「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」



そう言い続けた男は

なぜ自ら零戦に乗り

命を落としたのか。



戦闘狂でなければ誰だって

戦いたくはありません。


たいていの軍人は

戦闘が好きではありません。


真っ先に弾に当たるのは

自分たちですから。






この時、奇妙なことがありました。
宮部少尉は、一人の予備士官に
「飛行機を
変えてください」
と頼んだのです。

宮部少尉の飛行機は零戦五二型でした。
予備士官の零戦は旧式の二一型でした。

性能は比べ物になりません。

五二型のほうが馬力も大きく、 
速度も勝っています。


もっとも

二一型の方が


格闘性能はいいのですが


特攻機に

格闘性能は


関係ありません。


出撃は夜明け前でした。

そして、宮部少尉は

戻ってきませんでした。


あの時、特攻出撃した爆装零戦は六機でしたが、一機だけ


エンジントラブルで喜界島に不時着しているのです。


そうです。

五二機です。


これが、運命でしょうかね。



 

国の舵を取る人
つまり、


エリート層だけが

実際に戦争を防ぐための駆け引きをすることが


できるのです。


私が長らくこだわり続けている

この一説の


行き着く先が、はじめから

「永遠の0」だったわけではない。



全く計算されないままに

田舎談義のなかで、つい


東の○大の○君を

思い出したことから

展開図の話に辿り着いたために


綴られたイマココなのである。




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このブログは

次男が大学受験を迎えた年の

年末あたりからはじまっている。


このころ、私は


彼の大学の受験結果がどうあったとしても、すなわち不合格だったとしても


その結果に対する


彼自身の決断(後期試験または私大進学、もしくは浪人、場合よっては高卒)の先には、 


『エリート』に近似するものがあるのではないかと思い、そこに不可思議さを感じていた。



改めて記憶をたどれば


具体的には

各々が高校3年生頃からのココまで


エリートと呼ばれる集団に

属そうとしていた息子たちを


下界から

ただ、数年間眺めていた私は



エリート層だけが

実際に戦争を防ぐための駆け引きをすることができるのです


この一文に

ハンマーを振り下ろされたような

衝撃を受けたのである。




多くのエリートを輩出している

学校の先生方や  


そういう家系の親たちは、

当たり前に

わかっていることなのだろうか。





『永遠の0』が、

○君とりくの共通項だったことに

気がついた時


私は、今も残されている

りくの部屋の机の下に

備え付けられている書棚をあさった。


そこには、11年前の

クリスマスプレゼントだった

『永遠の0』が確かにあって


ONEPIECEやドラえもん、クレヨンしんちゃんらと並んでいたが


その仲間には

意外にも






司馬遼太郎と増田四郎がいた。

息子たちの生育歴的ライフ・スタイルと、いくつかの言を振り返ると


彼らが「読書」に親しんだのは、幼児期〜小学生である。


中学生になると、部活や交友にいそがしくなり、自宅で本を読む気配を感じることはなくなった。


とはいえ、

これまでのブログ内検証をみても、

私の記憶は当てにならないところも多く、何事も明言しがたいのではあるが。




中学生頃には

一見、読書から遠ざかっているようにみえていた。


夏休みの最終日に

強制課題にとりかかるために

「家にある一番うすい本」を私に要求し、


「世界が100人の村だったら」と

「葉っぱのフレディ~いのちの旅~」を読みこなし書き上げて、入賞したことを


要領の良さと

少しの狡さだと

思っていたことは


親として

反省するところなのかもしれないと

若干思わなくもない。




司馬遼太郎 歴史を考える



大学でいかに学ぶか



息子たちは、ほんとうに


人知れず、教師にも知られず
母にも友人にも知られずに

こういう本を

読んでいたのだろうか。