あるとき私に
誕生日プレゼントと称して
コスメグッズをくれた
パートナー男性の話は
需要がなさそうでありながら
あるところにはある。
のかもしれない。
彼がくれたコスメセットは
たまたま、手元にあったのだろう
『自社製品』
彼はそういう界隈の仕事をしているから、イベント的なものに出向く女性の
身だしなみ等には、関心が高い。
ある週末
「今日、まこちゃんのほにゃららしてあげたかったんだけど」
「息子の制服取りに行かないといけなくて」
「娘のなにやらがあるから、娘のほにゃららもしてあげないといけなくて」
という悲痛な叫びが届いたので
「りょぉかーい。来週にしよう」
と返信したら
「ほんっと、ごめんね」
「まこちゃんだって、にょろにょろがあるから、ほんとは今日☆☆したかったんだけど」
と、ごめんねごめんねスタンプがきたので
「大丈夫、わたしは
このままでもかわいいから」
と返信したあとは
既読スルーだった。
よほど
忙しかったのだろう。
それから数日がたって、
契約更新中の私たちは
とある居酒屋で二人きりの
宴をもうけた。
「息子くん、入学おめでとう☺
もう高校生なんだねぇ。早いよねぇ。
入学式、どうだった？？」
今年、新入生となった
息子くんへの私からの祝辞を皮切りに
彼は
話しだした。
後ろの女二人、座った途端に
ペチャクチャぺちゃくちゃ
うっせーの。
いやぁ、よく喋るわ。
暇さえあれば喋ってる女の人っているけどさ
おまえら、子どもの入学式にきてて
なにそんなに暇してんの？って思ってさぁ。
子供らなんて、まぁ〜
感心するほどにさ、先生の言う事聞いてビシッと座って開式待ってるのにさ。
あのなかのひとり、
おまえの息子か娘なんじゃねぇの？って。
かわいそうだよなぁ。子ども
あれじゃあなぁ
教育もなんもねぇわ
面白い話？
ねぇよ。そんなもん。
面白い話でもしてるんだったら、
聞き耳立てて我慢するって手もあるけど
なんだかわからん
面白くもなさそうな話
ただの雑音だって
あぁいうとき
夫婦で来てる人でうるさい人って
いないんだよなぁ。
アレな、
旦那が見張ってるからじゃね？
うるさい女は
家で話を聞いてもらえてないって？
たしかにな
家族にさえ
話を聞いてもらえてないってのは
あると思うぞ。
しゃあないだろ。
家の中でも
あのトーンで話しかけられたら
俺 多分、
「うるせ」って言うわ🤣
でさぁ、
校長が話しはじめてんのに
まだ喋ってんだと思ってたら
「あの校長先生、
滑舌悪くてぜんっぜん聞こえないねぇ」
だって！！
おいおぃ、今度は悪口かよ。
つかさぁ
おまえらの声で聞こえねぇんだよ
とか思ってたら
つぎ
次だぞ
「なぁんかパットしないよねぇ
見た目も」
とか言いはじめてさぁ。
いゃ、ふつうだよ
中肉中背の、ふつうの校長
おもわず、振り返ったよね。
コレ言う人
どんな顔してんだろうと
思っちゃったんだよ。
そしたらさぁ
めちゃくちゃ、びじん！！！
はぁ？
んなわけないじゃん。
まこちゃん、俺の話聞いてた？
今までの話。
入学式でぺちゃくちゃ喋って 校長の悪口とか言ってる人が
美人なわけないだろ。
控えめに言って、
控えめに言ってね。
ふつうのおばさんだよ。
いやぁ、よく言うよなぁ。
って感心しちゃったよ。
「おまえら、ダメじゃねぇ？他人の外見、言えた口なの？」って。
子どもの入学式で
校長の外見
ダメ出しってないだろ。
いくらなんでも。
いや、失敗したなぁ〜
俺としたことが！！
振り向かなきゃよかったんだよ。。。
わかってんのになぁ。
そういう女性の外見なんて。
見なくてもさぁ。
見なくてもわかるんだよ。
それなのにさ
見ちゃったんだよ。
それでも俺は言わねぇよ。
おれは絶対、
ブスとか言わないから。
俺の魂が認めないんだよ
ブスの存在を
俺は、今まで生きてきて
ブスな女性って
一回たりとも
一目たりとも
見たことないからな。
いいか？
よく聞けよ。
俺の仕事はなんだ？
俺の使命はなんだ？
女性の美しさを引き出すことに
決まってるじゃないか！
女性ってのはね
全人口の半分しかいないんだ。
俺の顧客になりうるのは
全人口の半分なんだ。
半分しかいないのにだぞ。
そこに、
ブスが混ざってたまるかってんだよ。
ブスってのはな、
俺の腕を尽くしても
引き出せる美しさが
微塵もない女性のことを言うんだよ。
この仕事して三十年！！
万一にでも、俺のこの目に
ブスが映ることがあったらな
俺は俺に
問わざるをえないんだよ。
「おまえ、今まで
なにやってたんだ？」ってな。
