「離婚理由が、
虐待だということですね。」と、
静かな確認を受け

うなずきあう、裁判官と審理官らしき女性から

「氏名変更」の許可をいただき
家庭裁判所をあとにした。



離婚理由が虐待

家庭裁判所では、元夫の行いを
虐待という。

これが、さりげなく認められることで
今後 仮に万一
親権変更等の申立があったとしても

万一の万一にも
それが、認められることは
絶対にないだろう。

私は、そう確信し安心していた。


手を回すかもしれない「親父」の
さらに先手を打っておく。




私の親友は言った。

3倍返し
まだ、半沢直樹が無名の頃である。



この後、何度か
元義母からは、さりげないアプローチがあったが

安心した私は、とても穏やかに接することができた。

元義母と、子どもたちと私の4人でランチを楽しむこともあったし、夕食にお寿司をご馳走になることもあった。

孫に会いたい  

その気持ちを、無下に扱うことは絶対にしない。

そんなことをする必要は、ないのだから。



何回目か、そんな時間を過ごしたあとに、なにかの用事

たぶん、次回の面会の日程を変更したいとか、そんな状況だったように思うが

家電に電話をしたら
元義母の様子が、おかしかった。


元義父にも、元夫にも
内緒の面会だったらしい。

しばらくたって、ささやき声で早口の折返し電話があって

「ほんとに、まずいの。
私の、この家での立ち場がね。」


そう言って、切れた。



そのあとは、携帯電話で連絡を取り合いながら

1年ほどがたって
私と子どもたちは
地元町に引っ越しをした。



子どもたちが、年に数回
元義父母と元夫に会うようになった頃だろうか。

時間経過はうろおぼえ

元義母が、私に言った。

「まこちゃん、
ちゃんと、やりきったのよね。

私は、絶対に無理だと思っていて。

じぃちゃんからも、泣きついてくるまでは待てって言われていたんだけど。

一度も、泣きついてこなかったもんね。」



「仕事、子育て、勉強
3足のわらじなんて、履けないのよ。」

元義父母は、私がリカレント教育を修了するまで、

「孫を見てほしい。」

そんなふうに言われる日を
待っていたのかもしれない。





離婚はさせない。
子どもは、絶対にうちで育てる。
そこは、まちがえないでね。



まこちゃんが、大変だから。
まこちゃんが、困っているから。

「仕事、子育て、勉強
3足のわらじなんて、履けないのよ。」





〇〇はさせない
まちがえないで

あなたのため
あなたには、できないのよ。

私たちがいなくちゃ、だめなのよ。



元夫は、そんなふうに育てられたのだ。 
育ってなかったけど。




「保育園の送り迎えもすれば、寝かしつけもしてくれる。


子どもに厳しいところはあるけど、殴りつけたり

怪我をさせたりしたわけではない。


やり直そうとしている彼に、あなたが寄り添えない

その理由はなんですか?」




家族問題とは、
「ものすごく、奥の深いものだから。」である。