離婚はさせない

子どもはうちで、絶対育てる

そこは間違えないでね


そう、言い聞かせたにも関わらず


子供を連れて、離婚した元嫁



それでも


「まだ、うちの姓を名乗っているなら
面倒をみてやってもいい。」

「平日はうちで、週末はまこちゃん。」



元夫の姓を名乗ることが
元義父母との関係を、より
複雑にしているのだとすれば…



ゆくゆくは、私が生まれ育った地に戻り、実家の両親の手助けを受けながら、子ども2人を育てたほうがいいのだろう。

 
「地元町のおじいちゃんとおばあちゃんのおうちの近くに、お引越しする?」


4歳だった長男に、とても楽しい思いつきのように提案してみたところ



まんまととても喜んだので、

「名字を同じにすることもできるんだよ。」と言ったら、


さらに、とても喜んだ。

そこで?? 
私は、家庭裁判所に出向くことにした。


+子どもの名の漢字を変更するためである。

2人の子どもの名の漢字は、元義父と元夫の名前から一字をもらっていた。


イメージ的には、
元夫が 泰幸(やすゆき)だとすると

長男  昴幸 (こうき)
次男  昇幸 (しょうき)


子どもの名前の漢字を変更することについては、どちらかというと「せっかくなら」という思いで、元夫や元義父母の気持ちを思えば、やり過ぎ感は、少々あった。


しかし、兄弟の名前の漢字がよく似ていて、かつ読みにくいために、病院を受診したり薬をもらうときに、混乱を招くこともたびたびあり、また祖父母や保育所に処方薬を預けるときに、誤薬を防止するための工夫をしなければならなかった。
 

独自調査の末

このような理由がある場合には「変更できることが多い」ことを知った私が、家庭裁判所に出向いたところ、 

申請窓口には、50代と思しき男性がいた。   


記入済の申立書と添付書類を渡すと

「え?なにこれ。 姓だけじゃないの?名まで?おまえ、何したいのよ。」
と、胡散臭気に私を見た。

書類に記入したとおりに
誤薬のリスク等について話したが

それでも、なかなか手続きはすすまず、
「氏変更だけではだめなの?」
と粘られた挙げ句に


「姓と名を両方変えるなんて!

こんなことしたら、
別の人間になっちゃいますよ。」

と言われた。





そのやりとりのなかで、その男性職員は、子ども2人の続柄と名を、何度も見直し、間違えながら、私に確認した。

ほんとうに、今思えばなのだが


老人の目には、厳しすぎる現実だったと思う。


★正しい組み合わせに〇をつけなさい。

長男 昇幸・長男 昴幸 
長男 昴幸・長男 昴幸 
次男 昴幸・次男 昇幸
次男 昇幸・次男 昇幸
長男 昴幸・次男 昴幸 
長男 昇幸・長男 昴幸
次男 昇幸・次男 昇幸 
 

しかし、まだ20代
老人性が未熟だった私は

その確認を受けながら

「ね?そうでしょ?
 見えにくいでしょ?」

「ね?そうでしょ?間違えるでしょ?」

そうでしょ?そうでしょ?

「漢字で書くと
区別がつかないでしょ?
と、わくわくしながら、ツッコミをいれた。



「別の人間になる。」という呪文を、繰り返し唱えている初老🤭の男性と共に、

続柄と名を、繰り返し照合し
区別のしにくさを、繰り返し確認するうちに




私は、自分を見失いつつあった。



私は、なぜここに存在するのか。
私は、なにがしたいのか。

なんのために生まれて
なにをして生きるのか。


別の人間になっちゃいますよ。




わたしは誰?
あなたは誰?

アイデンティティの喪失
アンパンマンは、人間ではない。





氏名変更の申立書類を提出し、審理手続きをするためにやってきたはずの


家庭裁判所の申請窓口

わたしは、ここで一体 誰からの
審尋を受けているのだろう。



と思ったので

「申請ができないということですか?」
「審理が受けられないということですか?」
「あなたは、
審理官ですか?裁判官ですか?」

と聞いたら


私の狂気に慄いたのか。

「いゃ…そうではありません。」
と言ったので、


私は

我が子たちが
別の人間に
生まれ変わなる

かもしれないらしいことを
  
承諾のうえ、申立手続きを終え
「審理日程は後日、郵送で書面にてご連絡します。」との説明を受け

家庭裁判所をあとにした。