「圭太は、メンタルが弱いから。」

と言った圭太くんのお母さん



「圭太のメンタルは、メチャクチャ

強いと思う。」

そう言った長男


その理由は


「あの母親と18年間一緒にいて

一度もメンタルの不調を訴えたことがないから。」





そして、思い出した。

「まこは、メンタルが弱いから。」

そう言ったことがあるのは、私の両親



常日頃、言われ続けていたというわけではないし

結構長く忘れていたことでもあるが。






「メンタルは、

強いですか?」


長男 高校3年生の夏

ヤクザ風の恩師が、私に聞いた。



それは、志望校を決めるとき


志望校を修正するということは

「負荷がかかる」ということ。


あいつが、目の色を変えて

努力する姿を、見たいんですよ。


ずっと、そう言っていたから

負荷のかかる受験を勧めたのだと思う。





メンタルって何?


目に見えないそれは

それぞれの心や体を支え

思考や行動の軸になりうる。


その程度の認識しかしていないにも関わらず、私は


即答していた。


「弱くは、ないですよね。どう見ても。」



メンタルが強いか 弱いか


熟考したことはなかったけれど


「弱い」と思ったことがないから、そう言ったのだ。


だけど?だから?それでも??

「強い」とは言っていない。



「わからないけど、弱くはない。」

そう思ったのである。




母子家庭という、生育環境の特性上

彼らの生活力は


年齢以上に高かったと思う。


長男が小学校高学年になる頃には

曾祖父母が認知、体力ともに、衰えてきていて、


祖父母は、だんだんそちらに

かかりきりになり

 

彼ら自身の生活は

とくに私の長期出張中には

家事を含めて、自分たちで切り盛りしなければならない時期もあった。



思えば


大学生になって一人暮らしをはじめた彼らの生活力は


自分のことは自分で

兄弟で協力しながら


すでに、小学生時代に培われていたと思う。



一般的に

お手伝いとか躾と言われる範囲を超えて


朝起きて、食事をして

戸締まりをして学校に行き


帰ってきて食事をして後片付けをして

入浴をして寝る


そのくらいのことは、二人で

やれるようになっていたのだ。


必要にせまられたから。




雨の中、道中で曽祖父が倒れたのを発見したとき


救急車がくるまで、そばに座って

傘をさしかける役割を担ったのは、小学校3〜4年生のりくだったし


買い物中

曾祖母が迷子にならないように


面倒をみてもらっているように装いながら🤭


「見張り」的にそばにいたのは、


ネフローゼ症候群による療養のため、長期欠席児童だった長男であったりした。



そんなふうに育ちながら、困ったこともあっただろうし、心配したり不安になる状況だってあったものとは思うが



とりたてて、不平や不満を漏らしたり、不安に翻弄されることなく、たいがいは、楽しそうに元気に過ごす彼らのメンタルについて、


弱いと言われるような状態とか、不安定に感じるようなエピソードには心当たりがなかった。



ただひとつ

「わからんなぁ。」と私が思ったのは、長男の、剣道にまつわる出来事である。


団体戦では、以下の役割が割り当てられる。


  • 先鋒 次鋒 中堅 副将 大将

一人づつ左から順に、勝負に出ることになる。



ある試合の打ち合わせのときに、経験者の保護者(父)が言った。


「先鋒と大将は、うちの息子みたいな、緊張の強いヤツには向かない。」


「○△長男みたいな、

どこに当てても変わらないヤツにやってもらえよ。」


この保護者(父)は、記事にできるほど🤭長男に対して良い刺激を与えてくれた人で、決して「嫌な役割を押し付ける」ような、良くない意味で発言したわけではない。


監督は、その意見を

聞き入れたのかもしれない。




ポジションが発表された帰りの車の中で、私は、長男に言った。



「〇〇くんのお父さんがね、おにぃちゃんのことを先鋒か大将に向いてるって言ってた。あんまり、自分のポジションとか試合の流れに動揺しないからだって。」


すると、長男は


あまり、気乗りしない様子で「へぇ〜」と聞き流した。



「先鋒や大将は、ほかのポジションよりも緊張するんだって。だから、どこでも変わらない、おにぃちゃんみたいな子のほうが、いいんだって。」と言ったら


「はぁ~ん?」と言うので


「先鋒や大将は嫌なの?」と聞いたら「うん。」と答えた。



「○△長男みたいな、

どこに当てても変わらないヤツ」は、


正確には

「どこに当てても変わらないように見えるヤツ


なのだろうと思った。