私は再び地上に現れる! | 裏窓のブログ

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1月31日の新大久保アースダムでのライブも轟音に包まれながら無事終了しました!

で、気づけば年明けて、もはやひ と月が終わった!


なんて早いんだろう、一年をこんな調子で過ごしていると、これはもはや時間との競争だ、今年も残すところあと11ヶ月(笑)


次回のライブは3月21日、ブッちぎります!


さて、今回の一本へいこう


2003年のアメリカ映画、監督は(ワンダーウーマン)などで知られるパティ・ジェンキンスによるサスペンス


  (モンスター)


アメリカ初の女性連続殺人犯、アイリーン・ウォーレスの生涯を描いたもので、サスペンスの反面、人間ドラマとも言えるしホラー的な要素もある


モデルになったアイリーン・ウォーレスは実在の人物で1989年から1991年にかけてドライバー相手の売春婦だったが、その際、男性客7人を銃殺した罪で逮捕され2002年に死刑が執行されている


ストーリーは


夢に疲れ果てるまで、ひとり道路に立ち身体を売って生活するアイリーン(シャーリーズ・セロン)、もはや希望も何もない彼女は有り金の5ドルを使い切って死ぬつもりで、行きつけのバーに飛び込む


そこで出会ったのがセルビー(クリスティーナ・リッチ)という少女、最初こそセルビーに対して不親切な態度をとるアイリーンだったが、セルビーが優しい子であることを知ると次第に心を開いていく、惹かれ合った孤独な二人はセルビーが居候している親戚の家に忍込みアイリーンはセルビーの部屋で一夜を過ごす


次にスケートリンクで再会した二人はお互いに恋をしていた、ところが翌日アイリーンがハイウェイで拾った男性客からひどい暴力を振るわれ性的暴行を受ける、アイリーンは身を守るために携帯していた銃で思わず男を殺害する、そして車と金を奪ってからセルビーを連れて逃げることに……

 

アイリーンの誘いに始めは戸惑いを見せていたセルビーだが、アイリーンの情熱にうたれた彼女は周囲の反対を押し切り一緒に行くことに同意する

アイリーンもセルビーの手前、一旦は売春婦から足を洗い堅気の仕事に就こうとするが、元々、職業訓練を受けておらず世間的な常識も無く、加えて粗野な気性のせいもあり彼女が一般的な職業に就くのは難しいことだった


仕方なくアイリーンはまた元の売春婦に戻る、モーテルを転々としながらもアイリーンは道で客を取っては再び男を殺したくなる衝動に駆られていく、そして最初の殺人にはまだ正当防衛としての同情の余地があったものの、二人目以降はほとんど憎い男たちに対する無差別な復讐劇と化していく……


最初の殺人が迷宮入りしたのをニュースで知ってから、味をしめたアイリーンは以後、トラック運転手や元警察署長など計7人を殺害する


… 映画では、アイリーンに殺人を止めさせるためセルビーが警察に協力して逮捕させたように描かれているが、現実にはセルビー自身少なくとも一件の殺人事件に関与していたので、自分が罪に問われないことを条件にアイリーンを売ったらしい …


ストーリー的には二人の関係は短かったように描かれているが実際には3年同棲、その間の生活費は2人で協力し売春と窃盗で稼いでいたという、車上荒らしや公務執行妨害、偽証、銃の不法所持などで二人一緒に逮捕されたこともあったようだ!


映画ではセルビーという名前で描かれている相方の女性は実際にはティリアという名前で、これはティリア本人が実名を使うことに同意しなかったため作品中ではセルビーになっているらしい、映画では若く小柄で少女っぽく描かれているが(クリスティーナ・リッチの風貌もあり)実際のパートナーであるティリア・ムーアは老け顔のオバさんみたいな女性、逮捕後は警察幹部たちと組み、アメリカ初の女性殺人犯アイリーンの映画化をハリウッドに打診までしていた、警察は不正を表沙汰にして3人の警官を処分したがティリアはお咎めなしで現在も過ごしている


マスコミはアイリーンを(モンスター)と名付け、連日、所業を書きたてた、裁判が始まり、アイリーンは最初の殺人が正当防衛であることを訴えたが92年に陪審は彼女に死刑判決を下す

愛するパートナーに裏切られ、警察からも責め立てられ、最後にアイリーンはすべては金のための犯行だと自供、93年までに死体が発見された5つの事件での死刑判決だった


では、このアイリーンが生まれ育った環境はどうだったのか? というと56年にミシガンで生まれたアイリーンは両親の顔を知らない、15歳で彼女を生んだ母親はアイリーンが生まれて半年後に家出、幼児性愛者だった父は8才の少年を誘拐して虐待、刑務所で自殺、親代りの祖父母はアル中、祖父はアイリーンを性的虐待、9才でタバコ欲しさにフェラを覚えて、13才で妊娠、そのまま赤ん坊は養子に出し同時に彼女自身も家を出て売春を始める、昼は学校に行って夜は客を探す毎日、ホテルへ連れて行ってもらえれば入浴できるのでラッキーだった


ー いつか誰かが別の世界へ連れて行ってくれる ー そう思い続けていたアイリーンの前に現れたのがセルビーという訳だ!


ー 生きるための選択肢はなかった! ー とは映画の中でブルース・ダーンが演じたアイリーンの友人トムの言葉で、確かに全体的に善悪で語るのが難しく、加害者のアイリーンにしろ、被害者の男たちにしろ、それぞれに複雑な背景がある、もちろん環境で犯罪が正当化されるはずもないが、共通していえるのは育ちや現状も含めて不運だった! の一言につきる


実際の裁判では陪審にさんざん暴言を吐きまくり、裁判官に向けて中指を立てるなど、かなりの白熱ぶりだったらしい


そして、この(モンスター)という作品で主人公のアイリーンを演じるにあたり、元々(トゥ・デイズ、96年)(セレブリティ、98年)(レインディア・ゲーム、99年)(ミニミニ大作戦、2002年)(スノーホワイト、2012年)などで美女役が多かったシャーリーズ・セロンは美貌をかなぐり捨て、体重を13キロ増やし眉も落とし、くわえタバコでふてぶてしく喋る表情や身のこなし方など迫真の演技を見せてアカデミー賞主演女優賞を受賞している


相方のセルビー役を演じたクリスティーナ・リッチは(アダムスファミリーシリーズ、91〜93年)(キャスパー、95年)などで子役として活動した後、ヴィンセント・ギャロ主演の(バッファロー66、98年)あたりから注目を集めた人、個人的にはバッファロー〜 での金髪ヘアーに派手目なメイクをしたイメージが印象強いがナチュラルにするとかなり童顔で少女っぽい顔立ちなのを本作品で再発見した


アイリーンの友人トム役のブルース・ダーンは言わずとしれたベテラン俳優さん、こういう人が主演しているとドキュメンタリータッチの作品でもやはり安堵感が湧く


2002年の死刑執行前のアイリーンは聖書と一緒に火葬されることを望み、最後の言葉は


ー 私はキリストと船に乗って旅立ち、再び地上に現れる! ー


だったらしい