ヒッチコックばりの異常心理サスペンス (悪魔のシスター) | 裏窓のブログ

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年明けの次は成人式、毎年この時期に思うのは成人式の前後は雪がチラつくほど寒い! 個人的にはそんなイメージなんだけど、今年もその気配はない

東京はかれこれ3年くらい雪が降ってないんじゃないだろうか?

昨年が暖冬とはいえ今年はどうなんだろう?


31日のライブまではまだ少しあるので、今回はこの作品に触れたい!


1972年のアメリカ映画、監督はブライアン・デ・パルマによる


   (悪魔のシスター)


ヒッチコックの名作(サイコ)(裏窓)をベースにした感じのストーリーを思わせる心理サスペンス、デ・パルマ監督の出世作とも言われている

題材にシャム双生児、覗きなどを含み、記録映像などの描写も盛り込んだ独特のカラーで描かれている


あるテレビ番組の人気クイズコーナーに出演したのがきっかけで出会った、フランス系カナダ人のファッションモデルであるダニエル・ブルトン(マーゴット・キダー)と広告業の青年フィリップ(ライスル・ウィルソン)は急速に恋に落ち、その夜二人はクラブで酒を飲み夜明けまで語り合っていたが、突然見知らぬ中年紳士が現れダニエルに早く帰宅するよう命じる、この男が実はダニエルの元・夫のエミール・ブルトン(ビル・フィンレー)で離婚したのちも彼女にしつこくつきまとっている


その場を振り払いエミールの影に脅えるダニエルを伴ってニューヨーク郊外スタテン島にある彼女のマンションに来たフィリップは彼女に誘われるまま、その夜を共にする、だが快楽に身をくねらす白い裸身の右脇に大きな傷痕があるのに気がつかなかった


翌朝、一人住まいのはずのダニエルが若い娘と口論するような声に目を覚ました彼は、その内容から相手の娘が彼女の妹ドミニクであることを知った


なぜか異常に興奮しているダニエルに頼まれるままフィリップは薬を買いに外出するが、その後ろを一台のワゴン車からエミールがじっと見つめていた

フィリップが買い物ついでに買ってきたケーキをダニエルに切らせようとナイフを差し出した瞬間、いきなり鋭いナイフをかざしフィリップにおそいかかるダニエル!


気狂いじみた形相でフィリップの足や顔面にナイフを突き刺し、倒れ込んだ彼の背中にも何度もナイフを振り下ろす、そして血みどろになったフィリップは窓ぎわに這いずり息絶える!


…… そして、事件が起きた部屋の内側と真向いのマンションに住む女流記者グレース・コリアー(ジェニファー・ソールト)の視点で分割画面になる ……


ダニエルの凶行をマンションから目撃していたグレースは即、警察に通報し自らもダニエルのマンションに駆けつけた


だが、現場に到着すると不思議なことに惨劇の跡は何も見当たらなかった、当然グレースの証言は白昼夢として処理されてしまう


実際はダニエルのマンションに一足早く駆けつけた元夫で担当医のエミールが発作で倒れているダニエルを介抱し、さらにそこにあったフィリップの死体を処理しいっさいの証拠を隠蔽したのだった


…… ここからのスリリングな映像、エミールが殺人の後始末を慌ててする様子と、事件が起きたマンションにグレースと警察官がやって来てダニエルの部屋を目指す様をスプリットスクリーンで描写、同一時間に進行する二つの場所を同時に見せるという映像ならではのテクニックで緊迫感を生み出している ……


そして、その場は上手くごまかされたものの犯行の事実を主張するグレースはジョセフ・ラーチ(チャールズ・ダーニング)という敏腕の私立探偵と組んで事件解明に乗り出す、捜査するうちにこの怪事件の容貌が現れ始める

その事実とは、ダニエルが妹ドミニクと双子であり、しかもかつては双方の身体がつながったシャム双生児だったこと、その切り離し手術を執刀したのがエミールだったこと、しかも手術後にドミニクは死亡し、その意識だけがダニエルに乗り移っていること、そしてエミールは変態性欲ともいうべき愛をダニエルに感じでいたことなど


…… ここでダニエルとドミニクの分離手術がおこなわれている生々しい記録映像が挿入される、そしてドミニクが死んでダニエルの精神バランスが不安定になりダニエルの心にドミニクの意識が生まれていたという事実 ……


ある夜、 エミールとダニエルを尾行したグレースは人里離れた異様な建物に入る、何故か興奮し抵抗するダニエルを注射で抑えるエミール、その異常な光景を見つめるグレースは後ろからエミールの部下に取り押さえられる、実はそこはエミールの経営する精神病院だった!

殺人事件の発覚をおそれたエミールは巧みな催眠術でグレースの記憶力を抹殺する、だがそこで意識を回復したダニエルに殺されてしまう


後日、救出されたグレースは殺人事件の記憶を消されていたため、調べに対して何も言うことはなかった、そしてダニエルの部屋から運び出されていた長椅子(おそらく中にはフィリップの死体が隠されている)は受け取り手が来ないまま駅のホームに置かれていた ……


悪魔のような表情で顔面にナイフを突き刺す瞬間やその犯行を目撃される設定など、カメラワークを含めていたるところヒッチコックばりのサイコ・サスペンス

ヒロインのダニエルを演じたマーゴット・キダーは艶っぽく男を魅了する妖しい雰囲気を持った女優、74年のサスペンス(暗闇にベルが鳴る)では酒飲みでやさぐれ感のある大学生を演じていた、残念ながら2018年に69歳で亡くなっている、私生活では3度の結婚と離婚を繰り返していて波乱万丈だったようだ、アルコールと薬物の過剰摂取による自殺とされている


そして監督のブライアン・デ・パルマはこの後80年に同じサイコ・サスペンスの秀作(殺しのドレス)を発表することになる


どちらもヒッチコック作品へのオマージュともとれるが、いかんせん(そのまんま)だからこれは仕方ない(笑)