不動産賃貸業を営む人にとって大きなリスクとして、空室というものがあります。空室になっていると、その期間中に家賃収入がなくなりますので、借入などがあれば、最悪の場合には家主さんの手出しで埋めなければならないという状況にもなりかねません。借入以外にも固定資産税や個人で所有している場合であれば、所得税等の納付の必要があります。

その税金を計算する際に、不動産賃貸業を営む場合に、比較的に大きな金額で必要経費として計上されるものに減価償却費があると思います。例えば、建物は取得の際に資産として計上されて、毎期減価償却という形で必要経費に計上されていくことになります。

今日書く内容は、不動産賃貸業の空室と減価償却費をはじめとする諸経費についてです。

疑問となるのは??

不動産賃貸業を営んでいる場合に、空室となることはあると思います。また建物の老朽化や近隣の状況により、空室が長期化することもあることだと思います。その際にたとえば1年間まるまる空室であった場合に、減価償却その他の経費を計上することができるのかということです。つまりまるまる1年間空室であった場合の建物は休止しているのではないかという疑問です。


そもそも減価償却資産とは??

減価償却資産とは、所得税法2条及び所得税法施行令6条に規定されているもので、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供される資産をいうとされています。したがって現に業務に使用されていないものについては、減価償却資産に該当しないと考えられます。

http://ameblo.jp/1984adad/entry-11511989742.html も減価償却について書いています。


募集等の業務は継続していたんだけど・・・

もし募集を継続しており、それでもなお空室が1年間続いていたとしても、業務に使用されていないと判断されるのは納税者にとってかなり酷なように感じます。

この点について、所得税法基本通達2-16は、現に稼働していない場合であっても、その資産がこれらの業務の用に供するために維持補修が行われており、いつでも稼働しうる状態にあるときは、その資産は減価償却資産に該当すると説明されています。



まとめると空室=業務に供していないという訳ではなく。業務の用にするために維持補修が行われており、いつでも稼働しうる状態にあるか否かという点が重要で、空室後の修繕や清掃などがあれば、減価償却資産として認められると考えられます。