前回金地金の売買の際に、税務署の方で売買があったことや利益が出ていることを把握することが以前に比べ簡単になっていることなどを書きました。で実際に金地金を売買した場合に、どの所得に該当して、どういう計算方法で申告をするのか??また昔に買っていて買値がわからない場合はどうするのか??という内容を書きたいと思います。


どの所得に該当するのか??

そもそも所得税法では、個人が所得を得た場合に10種類の所得に分類することになります。

つまり、サラリ-マンの方が給料をもらった場合と自宅を売った場合では所得税法上の所得が異なることになります。前者であれば、給与所得に該当し、後者の場合は譲渡所得に該当します。

また同じ土地の売買であっても、不動産業を事業として営む人が土地を売った場合とそれ以外の人が土地を売った場合でも、所得税法上の所得は異なります。前者は事業所得に該当し、後者は譲渡所得に該当します。

したがって、金地金の売買であれば、金などのトレ-ドを事業として継続して行っている個人であれば、事業所得(雑所得に該当する場合もありますが、細かいので省きます)それ以外であれば。譲渡所得に該当することになります。


譲渡所得の計算方法は??

これは、所得税法33条により、

収入金額-(資産の取得費+譲渡費用)-特別控除額50万円

です。

簡単なイメ-ジで言うと、売った値段から買った時の値段と手数料などを引いて、そこから特別控除50万円を引くというイメ-ジです。

具体的に、金地金を500万円で売りました。買った時の値段は、100万円で手数料が5万円かかりましたという場合であれば、

500万円-(100万円+4万円)-50万円=346万円が譲渡所得となります。

さらにここから保有期間が5年超か否かで計算が変わります。

5年以内であれば、上記の346万円が課税される所得となりますが、

5年超であれば、上記で計算した譲渡所得の金額の2分の1が課税される所得金額となります。

したがって、346万円×2分の1=173万円に対して、税率をかけるという形になります。税率は、総合課税の対象となりますので、それぞれ異なります。


もし買値がわからない場合はどうするのか??

昔から持っている金を売る場合や相続した場合などで、買った時の値段がわからないケ-スもあると思います。その場合は、概算取得費という考え方が示されています。これは所得税法基本通達38-16で示されているもので、売値の5%を取得費とみなすという考え方です。

つまり上の例でいけば、500万円×5%=25万円が取得費となります。そんなに安い訳ことはない!!と思うかもしれないですが、かといってこれ以上高いことを証明する手立てもなく、やむなしという方法かもしれませんが、少なくともゼロよりはマシというところではないでしょうか??


※ 金地金の現物の売買は上記の流れの課税ですが、金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は金地金の現物の譲渡とは異なり、実態は金融取引に近いことから、金融類似商品の収益として一律20%(所得税15%、地方税5%)の税率による源泉分離課税となります。