相続税法において、財産の評価について、相続税法22条により、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、その財産を取得した時の「時価」によるとされています。ただし、時価とは何か??時価をどう計算するか??などの話が相続税・贈与税等の評価をする際に大事になります。
今日は財産評価について書きたいと思います。

 「時価」とは??

 時価とは、相続開始時における当該財産の客観的な交換価値をいうものとされています。ただし、客観的な交換価値は、必ずしも一義的に確定されるものではないことから、課税実務上は、相続財産の評価については、財産評価基本通達によって評価することが主であり、そこに定められた画一的な評価方式によって相続財産を評価することとされています。
ただし、評基通6において「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」とされており、特別の事情のある場合には、他の合理的な時価の評価方式によることが許されると解されています。
  特別の事情に関する裁判例として、最高裁平成5年10月28日判決や東京地裁平成13年3月15日判決などがある。

 家屋の評価とは??

 財産評価基本通達において定められている家屋の評価は、以下のようになっています。
  家屋の評価単位
 これは、財産評価基本通達88において、家屋の価額は、原則として、1棟の家屋ごとに評価することとされています。
  家屋の評価
 財産評価基本通達89において、家屋の価額は、その家屋の固定資産税評価額に定める倍率を乗じて計算した金額によって評価するとされています。
 定める倍率は、1.0となっています。したがって、家屋の評価額は、固定資産税評価額となります。

 貸家の評価は??

 家屋のうち、貸家の評価については、財産評価基本通達93により、家屋の評価額=(家屋の評価額×借家権割合×家屋の賃貸割合)によって評価されることになります。
 借家権割合は、国税局長の定める割合により、大阪であれば、0.3などそれぞれ定められています。したがって、貸家の家屋の評価は、固定資産税評価額に0.7を掛けると算出されることになります。

 その他にも、建築中の家屋の評価として、財産評価基本通達91により、その家屋の費用現価の100分の70に相当する金額により評価するとされています。

 つまり、まとめると 相続税法において家屋の評価は、まずその家屋は、自用なのか貸家なのか??もしくは建築中なのか??に応じて、それぞれ評価の方法が異なる。ただし基準となるのは、固定資産税評価額になりますよという話になります。
 したがって、固定資産税を支払う際に、固定資産税評価額が記載されているはずですので、固定資産税評価額を見ておくと、家屋のだいたいの評価がわかることになります。固定資産税の明細がそろそろ送られてくる頃なので、その際は固定資産税評価額を見てみるとその後の対策などを考えるのに役立つと思います。わざわざ役所へ評価明細を取らなくて済みますので、是非生かしてみてはいかがでしょうか??