為替市場では、現在円安が進んでいます。1ドル=70円台というレンジまで一時期は、円高が進んできていたのですが、現在は、97円台で取引がされています。



企業の決算においても、円安効果により増益というニュ-スをちらほら見かけます。たとえば車業界では、日野自動車は2期連続で経常最高益の更新を見込むというニュ-スも出てきています。またホンダでは、想定為替レートを前期実績の1ドル=84円から95円として、円安効果により約2500億円の利益の押し上げが予想されるとされています。



その中で任天堂の決算を材料に為替と会計について書きたいと思います。



なぜ任天堂なのかというと、任天堂という会社は、外貨建て預金の保有の多い企業だといわれています。したがって為替相場の変動により、企業の業績変動が少なからずある企業となっているためです。

任天堂のHPでは、株主総会の質疑応答が全部なのかわからないですが、岩田社長とのやり取りがアップされています。その中でも、2011年の6月29日に開催された株主総会の質疑応答でも、為替が円高に振れていた状況で、外貨建て預金の保有をやめてほしいという株主からの要望とそれに答える任天堂側の回答が書かれています。



で任天堂の2013年3月期の連結決算は、新聞によると、以下のような概要となっています。

売上高は、2%減の6354億円で、営業損益が364億円の赤字となり、従来の予想に比べ、赤字幅が広がった。任天堂の営業損益は364億円の赤字となっているのに対してその後には最終損益は70億円の黒字と書かれています。

赤字と黒字が両方書かれていて結局どっちなんだ??という疑問はないでしょうか??自分は昔違いがわかりませんでした。笑





なぜ赤字と黒字の両方が書かれているのか??

その原因は、会計の表示によるものです。つまり損益計算書は、それぞれ区分を設けて表示をするように決められています。営業損益、経常損益、純損益という形で表示を行うようになっています。

まず、営業損益の区分では、企業の主たる活動からの売上とそれに対応する売上原価を示し、そこから販売管理費を差し引いて営業利益を表示することになっています。簡単にいうと、DSが売ったお金は売上高とDSを作るのにかかった費用は売上原価、さらに社員さんの給料などが販売管理費でそれらを差し引くと、営業利益が出るというイメ-ジです。

次に、経常損益とは、営業活動に付随する当期の金融活動から生じる収益及び費用を表示し、営業利益にこれらを加減して経常利益を算出します。ここに該当する取引としては、任天堂にはありませんが、借入を起こしている場合は、支払利息などが計上されます。

最後に、純損益とは、臨時的・偶発的に生じた損益項目や当期の経済活動と関係のない過年度損益の修正項目を記載します。最後に特別損失、特別利益については、常に出てくる科目というのはあんまりないんですが、固定資産を売却した際の売却益や売却損などが計上されます。

上に書いたとおり、任天堂は、本業の方は、364億円の赤字となっていますが、為替益が395億円あります。その他を計算していくと最終的には70億円の黒字となっていますというのが新聞に載っている内容になっています。