映画化の原作


モントリオール映画祭でワールドコンペディション(だっけ?)部門を獲得したということで話題でしたので読んでみました。

にしても吉永小百合さんってお美しい。声にも品がありますねー。タモさんがファンなのもわかります。


読んでみると連作短編のようで、どうやら映画と話が結構異なる感じでした。

お客様に合った音楽とおいしい珈琲を淹れてくれる店主の悦子さん。辺鄙なところにも関わらず様々な人がこの喫茶店に訪れ、おいしい珈琲を悦子さんに勇気や希望を貰います。

そして、なぜ悦子さんがこの岬に喫茶店をオープンしたのか、そして悦子さんの長年の夢とは。

「しあわせなパン」のような展開なのですが、まず設定がいいですよね。珈琲好き、音楽好きならこんな喫茶店行ってみたいって思うでしょう。

そしてやさしく、おちゃめで魅力的な悦子さん。映画で吉永小百合さんぴったり。


話はとても平凡でドキドキハラハラはありませんが、それが作者のいいところ。


日常をやさしく切り取り、暖かい気持ちで読める作品です。そして、ひとりひとり、希望に満ち溢れるというわけではなく、少しずつさみしさも抱きながらの暖かい読後感。

人生って楽しいことばかりではないし、喪失もあればあきらめもある。それでも大切な人との思いでや寄り添う人がいることで自分の人生がぱあっと開けた気分になる。

そんなことをなんとなく思いました。

読み終わったあと、隣で本を読んでいた笹井さんの手を握ってしまった。

怪訝そうな顔をしてされるがままになっていた笹井さん。

大事にしようと思った。


ただ、個人的に私には少しパンチが足りなかったかもしれない(汗)


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