野良猫の瞳では、まさかあるまい。
・・・・というのは井上陽水の「娘がねじれる時」の歌詞ですが・・・・
昨日バイトの帰り道、人気のない裏路地に入ると、前足を揃え行儀
良く座っている野良猫がいた。猫は僕を見て
「ニャン」
と短く鳴いた。
まわりに誰もいない事を確認し、僕も
「ニャン」
と鳴いてみた。
すると猫は「やれうれしや」とばかりに僕に駆け寄り、足に体を擦り付け
てきた。
おお、何ということだ!猫と言葉が通じてしまったではないか!
嬉しくなり、しばらくムツゴロウばりに触っていた。猫も大喜びで「ゴロゴ
ロ」言っていた。体が大きくて顔つきもなかなか可愛かった。
しかしいつまでもそうしているわけにはいかないので帰る事にした。
猫は不満だったらしく
「にゃ~ン」
とごねて足元をウロウロしていたが、僕が歩調を速めるとついて来なくな
った。後ろを振り返ると、猫は最初のように行儀良く座り、僕をジッと見て
いた。
僕は猫心(そんなんあるのか?)をいたずらに弄んでしまった様な罪悪
感に駆られ、いたたまれなくなり小走りで家まで帰った。
友達にその話をすると
「ああ、エサが欲しかったんでしょ」
と言われた。
・・・分かってないなぁ。そんなんじゃないんだよ、あれは。猫と心が通じて
しまったんだよ、きっと。
真夜中の猫は魔性である。
さすが井上陽水は良く分かっている。
