岩手県に入ると、道路が劇的に走りやすくなった気がする。
歩道が広く、路面の状態もいいのだ。もちろん例外もあったが
交通量の少なさもあり、僕は岩手の道路にはいい記憶しかない。
広く、よく整備された岩手の道路。素晴らしい。
道の駅「さんりく」からしばらく下ると、すぐさま羅生峠の登りであ
る。息つく暇もない、とはこういう事を言うのだろう。
峠を下ると沿岸部に出ることが多く、そこからは青い海と、リアス
式海岸特有の侵食された岩肌、押し寄せては白く砕ける荒波、
遠くに目をやれば鋸歯のような壮大な地形が目を楽しませるの
である。
鋸歯状の地形を確認できる
何より僕は、まだ朝もやの太平洋に朝日がキラキラと反
射している光景がお気に入りで、豪華なサイクリングだと一人ほ
くそ笑んでいた。そういえばもこみちは
「北山崎が超凄かった」
とか言っていたな。俺は今そんなところを自転車で走っているの
だ(笑)。峠とトンネルのコンビネーションブローを浴びつつも、僕
は何とか釜石にたどり着いた。陸前高田から50キロほど進んで
いた。
最悪ここで泊まることも考えていたが・・・・・・・。
まだ走れそうである。宮古までは4~50キロと言ったところか。
地図を見る限り、これまでの道のりよりはよほど楽そうだ。
よし、行こう。
結論から言えば、そんなに楽ではなかった。峠は3つほどあったし
平坦な場所も少なかった。陸中山田を過ぎたあたりから20キロほ
どは内陸を走るのだが、ここではこれまで見てきたような「田んぼ
ばっかり」という光景は見られず、畑や農場が広がる風景が多かっ
た(確か)。牛が30頭ほど入っている厩舎を見たときは、年甲斐も
なくはしゃいでしまった。
あ、牛さんがいっぱい!!
とね。写真撮っておけばよかったな・・・・・。
そして一つ疑問であったのが、そうした農場の広大な原っぱにとこ
ろどころ置かれた、白い直径1メートルほどの塊。あれは何なんだ
ろう?僕の間違いでなければ、猛烈に臭いのだ。たびたび農場を
通るたびに目撃した白い塊・・・・・・・。ご存知の方いましたら教えて
ください。
一日苦戦しつつも、峠と戦いきった爽やかな疲労に包まれた僕は、
午後2時には宮古市に入ることが出来た。
しかし気になることに、僕が宮古市に入ったとたん、にわかに空は
掻き曇り逆風が吹きつけ、キツイ潮の香りが漂ってきたのである。
この町は僕を歓迎していないのではないか?
と真剣に思った。旅を続けていると、およそ日常的な感覚からはか
け離れた「旅感覚」とも言うべき物が身につき始める。それは恐らく
蓄積されていった経験の中から無意識に今の状況を分析し、予感
として本人に伝達してくる、第六感に近いものがあったのではない
だろうか?事実、旅の後半僕はベストに近いと思える行動を選択し
続けることになる。
今日はまだ苦戦するかもな・・・・・・・・・・・。
疲れた体で野宿場所を探すのは億劫なものである。しかも雨まで降
り出しそうだ。腹も減ってきたし・・・・・。
無事宮古まで辿り着いたものの、なんとなく浮かない気分で僕は自
転車を走らせるのであった。

