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章「まさかの展開」

唇に何かが触れた!

そんな記憶を残し、家に帰ってきた和多志。

喉が渇いたせいか、夜中の3時に目が覚めると。

マットレスの上に毛布と布団だけをかけて寝ていた。

そして、昨日の行動を思い出していた。

最後,公園で唇が触れた様な...

すかさず,携帯を取り出してみると。

ありがとうございました。楽しかったです

とスタンプが。

これを見た瞬間。

文章を削除した。

もし,彼がキスした事を思い出してしまったら非常に氣まずいと。

そうこう考えていたら,4時間が過ぎた。

布団をひき始めて寝る準備をしていた所に,彼からメッセージが入ってきた。

昨日の事は,誤解して欲しくないから時間をつくって欲しいと。

あっ、覚えていたんだと思った和多志は、何があったのか教えて欲しい氣持ちもあり、そのまま布団に入る事をやめ,彼に電話をした。

そのまま,シャワーを浴びて朝のウォーキングに彼を誘い,事情を聞く事になった。

peleとは良い関係をきずいていきたいから、俺にとってpeleは,理解者であり、兄妹であり,力になる人だし,感謝しているからと。

だけど、心を閉ざしていた俺がpeleと過ごす事によって、突然開いてしまって自分でもこの状況にびっくりしている。

と、過去の話を沢山話してくれた。

それを聞いた和多志は,閃いた。

あっ、じゃせっかくだからお世話になっている人の店まで歩いて行って,ランチしようと!

錦糸町へ歩きだした。

彼の話が終了した途端,和多志は,壊れたラジオの様に話し始めた。

彼と居ると安心する。なんだろうこの感じ。

話も聞いていなくても良い。ただ話したいと,言葉がどんどん出てきた。

そして,1回目の赤信号に到着。

赤信号で、渡ってしまおうとする彼にダメ。赤だからと声をかける。

また、壊れたラジオの様に話し始める和多志。

次の赤信号を渡ろうとた彼にダメって止めた和多志は、次言おうとしていた大切な言葉を忘れてしまった。

そこから、和多志の壊れたラジオの音は、シャットダウンした。

亀戸天神に到着、橋を渡り声をかけてくる彼。

和多志は,腕を組み自分が何を話したかったのかを思い出している。

沈黙が15分過ぎた。

自分のふとした悪い習慣でこんなにも影響を及ぼすんだと初めて理解した様だった。

その後、和多志は彼にこう言った。もう,赤信号を無視する事は、辞めて下さいと。

言葉は,強くても心では、違っていた。生まれて初めて会えた自分の分身。

君が死んだら、また1人になってしまうよって。この感想は,この日の晩に伝える事になった。

そして,錦糸町の中華料理屋さんに到着。

営業開始30分前という事で、コーヒーショップに立ち寄った2人。

ここで,今後の仕事についての話をする事になった。

彼は真剣に相談にのってくれた。

自分の経験してきた事を踏まえて分かりやすく。

頼もしいなぁって思って,和多志は、空を見上げた。

それから、和多志達は,中華料理屋さんに向かった。

それにしても,前の日に3軒梯子して,3時間寝て,夜中の3時から起きている和多志に、迎え酒は、厳しかった。

彼はたっぷり寝た様で,昼からもりもり,テンション高く、飲んで食べてウキウキ。

何を食べても美味しい,美味しいって喜んでいる。

和多志は,内心ほっとした。

久々に来れた場所で、2人共がグロッキーだったら、お店の方に失礼だと思ったからだ。

彼は笑顔で,親父も連れてきますねって、お店の方を喜ばせる氣の利いた言葉に心がほっこりした。

そして、夏子さんとも中々会えなかった経緯を話したり,とにかく,この店に来れた事に彼に感謝した。

店の中でも、彼と和多志の話しは永遠に続いた。

昨日から長い時間いるのに,こんな話す事がある事にびっくりしながら、自分の心が和らいで行くのが分かった。

もう,peleは戦わなくて良いよ。

俺は、沢山身体を傷付けてきた。

だから,戦いは,俺がするからpeleは、鎧を脱いで。

俺が君を守るからって。

その言葉を聞いた瞬間、目から涙とハートチャクラが温かくなった。

なんなんだろう?この人?

なんて素敵なんだろう。

そして,話しをしていくと、昨日の事を思い出した。

彼の良い癖でもあり,悪い癖だ。

その悪い癖は、和多志の父親と一緒だった。

カウンターに座った人の端から端迄一杯飲みなよと声をかけてしまう良い癖でもあり,悪い癖。

こんな親父ヤダって思っていた同じ癖を持っていた彼。

何でヤダと思っている癖を持つ彼を引き寄せてしまったのだろう。

だけど,その癖をして悲しむ被害者がいないのであれば、それは良い癖でもある。

色々な話しをして帰る和多志達。

またもや、違和感を発見。

昨日の迷子事件だ。

和多志達は、2人とも自分軸で行動する為、歩幅の広い彼は、遠くに行ってしまう。そこに来てマイペースな和多志は,置いて行かれている事にも氣が付く事無く,自分のペースで歩いてしまう。

彼を追いかけて思った事がある。

今迄の人は、一生懸命付いて来てくれるから彼は相手に合わせる事が無く違和感が無かったんだと。

和多志達の場合,似過ぎているからこそ,氣遣いしないといけない箇所が沢山ある事。人の振り見て我が振り直せという言葉がある様に,和多志達2人は,特殊過ぎて似ている人に今まで出会って来なかった事から、事実を理解した1日になった。