➖雅紀side➖
「へぇ〜、この人が新しい看護師さん?」
『はい。今日からここで一緒に働いてくれることになりました』
「あっあっ相葉雅紀です!一生懸命覚えて頑張りますのでっ、よよょよろしくお願いします」
「おいおいおい。参ったなぁ、頭下げられちゃったよ。こっちがお世話になるっちゅうのに。
な?先生」
『ふふ。慣れるまでは緊張してしまうと思うので、
僕の方からもよろしくお願いしますね、梅さん』
「かぁ〜。先生にまで頭下げられちまったら、そりゃ人肌脱がないわけにはいかねぇなっ、と。
よし、患者連中には俺からビシッと引き継ぎしとっくから、看護師さ…相葉ちゃんでいいか、まっ、逃げずに頑張ってちょうだい」
櫻井先生曰く
この梅ちゃん、こと虎田梅吉さんは
先代の院長である祖父の時代から通っている常連の患者さんで、診療所の主(ぬし)、と呼ばれているそう
ちょっと口は荒いけど
初対面のオレにも気さくな感じで接してくれて
手が震えて採血を失敗した時も
「オレは血の気っが多いからよ、多少血を多く抜いてもらった方が血圧の薬減らしてもらえるかもしれないから丁度良いんだ、なんつってな」
と、
笑いながら外し忘れた駆血帯もそっと外してくれた
モリモリ浮き出た血管で失敗するなんて
やっぱり自分は看護師には向いてないと
落ち込んだ
けれど帰り際
梅吉さんがオレの肩を叩き
「次もまた頼むよ、相葉ちゃん」
と
言ってくれて(ノ_・、)
スーっー
萎んだ心に空気が戻ってきて胸が軽くなった
ありがとう
梅吉さん、いや、主様✨
次は失敗しないように
頑張りますね!
駆血帯も、外し忘れないようにします!
まぁ
その後も、自分の不甲斐なさに
頭を抱えて尻尾を丸めて土下座したくなる失敗は
数知れずしてしまったけれど
その都度、櫻井先生がフォローしてくれ
(先生、使えないナースでごめんなさいっ、、)
一から医療のイロハを教えてくれ、
もちろん自分でも勉強し直し
3ヶ月過ぎた頃に
ようやく笑顔で患者さんと接する余裕もできて
看護の楽しさを感じれるようになってきた
つづく……
