ふぅ〜疲れたぁ
夜間診療を終え、重い脚を引きずり自宅へ戻る
ん?
玄関のドアを開けたとたん
鼻に届いた炊き立てのご飯の香り
その匂いにつられキッチンへ向かうと
相葉さんが振り返り笑顔で迎えてくれた
「あ、先生、お疲れ様でした。
勝手に台所使わせて頂いてます」
『いえいえ、どうぞ。ご自由に使ってください。
相葉さんって料理するんですね?』
「手の込んだ料理とかは作れませんが、簡単なものくらいなら、、
お口に合うかどうか分かりませんが
お夜食作ったので良かったら食べてください」
『え⁈ 僕の分まで⁈』
「はい。
ここに住まわせてくれたお礼に。
こんなことくらいしかできなくてすみません」
『すみませんなんてとんでもない!
むしろありがとうございます!』
まさか
こんなサプライズが待っていたなんて
テンション爆上がりのまま
部屋着に着替え
キッチンへ戻り
箸や皿を並べる手伝いをする
いつぶりだろう
この家で手料理を味わえるなんて…
「スーパーでカツオのたたきが安く買えたので、
醤油とおろし生姜とニンニクで漬け丼にしてみました。
それと、こっちが玉ねぎ丸ごとに切れ目を入れ、
麺つゆとバターを入れて、レンチンした超簡単料理です。
あと、この皿のは豆腐と卵と枝豆の炒りとじあんかけです」
手の込んだ料理は作れないって言ってだけど
自分からしたら
すべてがご馳走
しかも、料理に気配りまで感じる
ヤバッ…
ちょっと泣きそうだ
ワインセラーから
とっておきのシャンパンを選ぶ
『乾杯しましょう!』
「カンパイ?」
『相葉さんがうちの診療所と下宿に来てくれたお祝いに!』
向かい合って座った相葉さんと
グラスを傾け乾杯🥂し、
作ってくれたご馳走に舌鼓をうつ
グラスの中、シュワシュワ立ちのぼるきらめく泡が
沈んでいた心まで軽やかに跳ねさせてくれる
モグモグモグ
『相葉さん』
「…お口に合いませんでしたか?すみません」
モグモグモグモグ
『ご飯お代わりしても良いですか?』
「はい!」
つづく……
