一郎が父親との別れがなければ
相葉くんとの同居生活はとっくに終わりを迎えてい
た
その負目もあり、今の暮らしを手放しに喜べない自分がいる
相葉くんの人生も巻き込んでしまったし…
あの時は、一郎を引き取るために
相葉くんの提案に甘えて、突き進んでしまったけれど
本当にこれで良かったのか?
元に相葉くんは、
全ての手続きを済ませたあとは
指輪をつけていない
一度つけない理由を尋ねたけど
「う〜ん。営業してると指輪ない方が奥様方のウケがいいんだよね。それにオレそそっかしいから失くしちゃいそうで」
と、笑ってやんわり(指輪を)つけるのを断られた
「はぁぁぁ」
左手に光るシルバーのリングを見るたびに
溜め息がこぼれる
この指輪のおかげで
女子社員の執拗な誘いはめっきり少なくなり
せいせいしているのに
この虚しさはなんなんだろう…
ペアのキーホルダーは
あんなに笑顔で喜んでいたのに……
「はぁぁぁぁぁ」
また一つ
今日何度目かわからない
溜め息がこぼれた
つづく……
どうしてかな?相葉くん…

