医学の力でコールドスリープ状態の翔に
雅紀が話しかけるシーンの続きとなります






オレのマネージャーである翔ちゃんは

仕事だけでなくオレのプライベートのスケジュールまで完璧に把握していた



マネージャーというものはそういうものだと思っていたし

それが好意を抱いている相手だもん

逆に嬉しかった




だからオレはいかなる時も

〝いつ〟〝どこで〟〝誰と〟会うのか

逐一翔ちゃんに報告していた


なんなら翔ちゃんと同伴したいくらいの気持ちでいたし… 



けど、この日だけは翔ちゃんに内緒で

店の個室を予約し潤くんと二人で飲む予定だった



なのに…


まさか

その席に翔ちゃんが座っているなんて思わなくて



「っ! どうしてっ…ここに⁈」



『たまたま店に寄ったら席を通されたんだ』


そう言って翔ちゃんは

先に注文した酒を口にしながら肴をつついていたけど



「ねぇ翔ちゃん?あれって『たまたま』なんかじゃなかったんでしょ?」



・・・・・・




潤くんに恋の相談をするはずが

その相手がこの場にいるんじゃ

相談どころじゃなくって



翔ちゃんに黙って仕事仲間と密会した気まづさと

プライベートで翔ちゃんと酒を飲める嬉しさで

おかしなテンションになったオレは

ハイスペースでグラスを開け




気づいたら


ベッドの中で朝を迎えていた




「目覚めたら知らない家だし、おまけにオレ、パンイチでさ、もう超焦って💦

でそこが翔ちゃんち、だとわかって更に超超ちょ〜焦ったんだからぁ」




・・・・・・




眠り続ける翔ちゃんは

何も反応してくれない



それでも

オレは翔ちゃんに語りかける





幸せだった日々の記憶を





そうすることでオレは


自分のこの不安定な心のバランスを


どうにか保つことができていた






限られた面会時間



「また来るからね」




翔ちゃんが眠るガラスケースに口づけし




ショーンが待つ家へ車を走らせた






つづく……