〝泣く〟という感情表現を覚えたショーンは

その日から本当によく泣いた



最初のうちは

泣いて気持ちを伝えてくれることが嬉しくて

お世話するにも気合いが入った



けれど

あまりにも泣き止まないもんだから

だんだん不安になってきて


顔を真っ赤にし泣き続けるショーンを

胸に抱き抱え研究所へ走った



検査結果は

特に異常なし



良かった…




窓辺から射し込む夕陽


両手のゆりかごでぐずり泣くショーンをあやしながら一緒に黄昏泣き




鏡の中のオレは

肌は荒れ、髪はぐしゃぐゃ、

髭はボーボーとまではいかないけど伸び放題


モデルをやっていた頃に比べると

見る影もない




明日は翔ちゃんに逢いに行く


眠らされて意識はないけれど

さすがにこれじゃ…ね




『俺好きだな。雅紀のサラストな髪』


『スタイルお化けだから何着てもシュッとして似合うんだよなぁ。羨ましいよ』





よし!

途方にくれてる場合じゃないぞ



泣き止む気配のないショーンをおんぶ紐で

前抱きにし

腕まくりをした


その時


ピンポ〜ン ピンポ〜ン


インターフォンが鳴った



配達なら置き配指定してるし

ここの住所はごくわずかの人にしか教えてないのに…



誰だろう…

翔ちゃんのご両親なら先に連絡くれるだろうし…




ピンポンピンポンピンポン



なり続くインターフォン

恐る恐るモニターを覗くと


そこに映っていたのは



「あっ…」








「潤くん…」








つづく……