コールドスリープの状態で生命を維持するにも限界がある
タイムリミットまであと10年
それに間に合うように
遺伝子操作で成長速度を3倍にしたクローンが研究医師らの技術によって誕生した
最先端の器機に囲まれ
AIロボットが監視する保育器の中で育つその子は
見た目は普通の赤ちゃんと変わらない
けれど
通い詰め見守ってゆくうちに
オレはある異変に気づいた
そのクローンは赤ちゃんなのに
泣かないのだ
ぐずり泣きすらしない
脳波を感知したAIのロボットが先回りして
完全管理してしまうから
これじゃ脳は成長しても
肝心の情緒は育たないじゃないか
強い危機感を抱いたオレは周囲を説得し
自宅へと引き取り
〝ショーン〟と名付けて
自分の手で育てることにした
少しでも
翔ちゃんの記憶をこの子に記録するために
・
・
と言っても
最初はとにかく慣れない育児で悪戦苦闘の連続だった
全てAIロボットに管理されていたショーンは
お腹が減っても
オムツが濡れていても
どこか具合が悪くても
泣いて知らせてはくれないからだ
時計の針や室温計と常に睨めっこしながら
「ショーン、お腹減ったかな?」
「ショーン、オムツ変えようね」
「汗かいて気持ち悪いかな?おふろ入ってお着替えしようね」
24時間ほぼ床には寝ずに
つきっきりでショーンのお世話をした
そして
少しずつ
ほんの少しずつだけど
ショーンの表情にも変化が出てきて
はじめてショーンが
ぐずった時は
オレの方がショーンより泣いた
それくらい
すごくすごく
すんごく
嬉しかったんだ
つづく……
こんなお話だけど
大丈夫かな?💦
めちゃくちゃ自信のない作者です💦