「いつまでそうやって待ってるつもり?」
『・・・・』
「彼はここには来ないよ」
『・・・かもしれない…だろ?』
「そうだね。もしかしたら偶然通りかかるかもしれない。けれど」
『・・・・・』
「キミのことは覚えていない。なぜならば
キミとの記憶はゼウス様の手によって消されたから」
『…っ⁈』
「それが彼のためだから」
『・・・・・っ』
「わかってあげて欲しい。彼は…
まぁちゃんはキミを忘れたくて忘れたたわけじゃないってこと…」
『・・・・っ・・・』
「あのオルゴールボールはキミがまぁちゃんにあげたもの、だよね?」
『・・・(コクリ)』
「意識を戻してからもずっと手放さないんだ。宝物だって」
それからも
サトシと名乗るその天使は
俺の存在を忌み嫌ったり蔑んだりすることなく
あの河岸で四葉のクローバーを探し続ける俺に話しかけ続けてきた
そして
マサキの癒療が終わり回復した後の様子も
定期的に俺に知らせてくれた
偶然にマサキと再会した時に
俺の存在に全く気づく素振りもなく
すれ違った時も
現実を受け入れることができたのは
彼のおかげ…だ
俺の気持ちに
俺より先に気づいていたのは
きっと
彼だったのかもしれない
・
時が経ち
オレは力のコントロールを身につけ
ゼウス様に仕えるまでの地位を得た
そんなゼウス様の神命に
素直に従えなかったのは
断ち切ったはずの想いと
また向き合うのが怖かったから
そんな俺の弱さを全知全能の神ゼウス様は
見透かしていたんだろうな
人間界に堕りることを了承したあと
神はなぜマサキの記憶を消したのか
そして
なぜマサキを地上へ行かせたのか
その理由を
俺に教えてくれたんだ
つづく…
すみません
大事に想いをえがきたくて
追想が長くなってしまいます