マサキは別に何も悪いことはしていない
ただ
知りたくもない〝沖〟という人間の話を
朝っぱらから聞かされ
イラッときただけ……
あんな顔…
させるつもりはなかったんだ…
・
・
帰宅後
朝残したおかずをレンジで温め直し食べる
マサキは今夜も帰りは遅くなるのだろうと予想していたが
連絡一つ寄越さないのは初めてで
『分かったよ、、ガジュマル。。そう睨むな』
明日は土曜
けれども
酒は飲まず本を読みながら帰りを待つ
そして
深夜、玄関の扉が開く音がした
やっと帰ってきたか…
が
その足音はリビングにではなく、
真っ直ぐトイレへ
水を流す音が繰り返され
心配になりトイレを覗くと
マサキが便器に顔を突っ込んでゲーゲー吐いていた
酒臭ぇぇ
こんなになるまで飲むなんて
少しでも楽に吐き出せるよう背中をさすってやろうと触れた瞬間
っ!!
『嘘だろっ…』
氷のように冷たい汗がシャツにへばりついていた
「…だぃ…じょ…ぶ……だから…」
マサキは俺の手から逃れるようにヨロヨロと立ち上がり、おぼつかない足取りで自分の部屋へと消えて行った
扉の前、独り立ちすくむ
プライベートには立ち入らない
それは俺が定めマサキに押し付けたルール
けれど
今はそんな悠長なこと言ってる場合じゃねぇ
ドアノブに手をかざし
カチャリ
施錠を外し部屋に入ると
負のオーラに包まれたマサキが
意識を手放した状態で
ベッドに沈んでいた
『おい! 起きろ! 目を覚ませっ! マサキ!!!』
つづく……
負のオーラ??
嘔吐による軽いショック症状…では無さそう