毎日帰りが深夜になるマサキ
まともに顔を合わせ会話するのは
せいぜい朝飯の時くらいだけ
人事課から営業企画課へヘルプ要員に出されたマサキは最初こそ戸惑っていたが
持ち前の人あたりの良さとガッツで
プロジェクトチームの輪に打ち解けるのも早かったようだ
そればかりか
最近じゃ…
「あのね、翔ちゃん、聞いてよぉ〜」
『ん?』
「沖くんってさぁ」
まただ…
「漢字ほとんど書けないんだよ。英語もフランス語もアラビア語もペラペラなのに」
沖とはマサキが参加しているプロジェクトチームののメンバーで海外支社からヘッドハンティングされてきた逸材らしい
そいつとは随分と馬が合うようで
口を開けばそいつの話ばかり
「でねでね、、っ?翔ちゃん??」
食べかけの皿を持って席を立った俺を
不思議そうに見るマサキ
「おかず不味かった?」
不味いはずがない
夕食を作れない分、俺に気をつかってか
朝食は俺の好物が多く並んでいる
もちろん外食で不足する栄養も補えるよう工夫して
「っ今から急いで作り直すね、、
翔ちゃん、何食べたい?
明太子オムレツ?それともスパムおにぎり
がいい?」
『必要ない』
「…怒って、、る?
ゴメン…オレ…なんか変なこと言っちゃった?」
『・・会社にプライベートを持ち込むな、と前に言ったアレ。反対も然りだから』
「あ……。。ゴメン…うん。。そうだった…よね、、ゴメンななさい。。。」
なんでお前はそう簡単に謝るんだ?
別に何も悪いことしてないだろっ…
『美味かった…から、、今日も。残りは晩飯にする』
「あ、うん。。」
そんな顔見たかったわけじゃない
そうさせた自覚があるからこそ
よけいにまたイライラが募り
心のレンズを曇らせていった
つづく……
翔ちゃん、そのイライラの原因って……