夢の住人 壱 | kazooさんのブログ

夢の住人 壱

高校1年の丁度、今と同じ夏が終わり始めた頃


彼女に一目惚れをした。


千曲川沿いの800mの道、突然、目の前に現れた彼女は
魂を抜き去る妖怪のように、僕の心を奪っていった。

キューッと自転車のブレーキの音を発しながら僕は石化したまま。

僕は彼女を見送った。一瞬の出来事なのに長く時を感じた


その日以来、遅刻魔な僕は消え去り。1時限目がサッカーじゃない日も
定時に高校に行くようになった。


餌をまかれた鳩のように・・・・


何度も、彼女の自転車の行き先をさえぎり、声をかけようと
思ったことか。
時は過ぎるばかり、すでに、そんな生活が1年経とうしていた。

人間を一年も片思いしたのは、僕にとってはもう、ないだろう
なぜなら、女好きだからである


すでに諦めていたのも事実だった。
彼女はリアルで会える僕のアイドルと化していたのである。
一年も時間はあったのだからいろいろ、考えた。
転んでみようか、すみませんと声をかけようか
この場で今地震でも起きないだろうか、なにか偶然がおきないだろうか・・・
希望だけが先走り、何一つできない。
今思えば、馬鹿げた話である。


答えは単純だ。
僕は彼女のことが好きなのに、恐怖を感じていた
この幸せなひと時の朝が終わることに・・・
だから、声をかけないという選択を毎日してきた。

だってそうでしょ?そこで引かれたら、すべてが終わる。


恋とは支配である。彼女の支配の中にまだ、繋がれていたかったから。

だが、運命とは皮肉なもの・・・


大事に大事に消えないように無力な手で
守ってきた灯火は・・・・突然、燃え上がる。

つづく


今回のテーマ曲

http://jp.youtube.com/watch?v=e8ixLvzJoq8