モンストのCMをご存知かな。
巷では最近、「このCMがとてつもなく不快だ」と話題になっている。主人公のスターリング少年が、ラスカルに対して舌打ちをしているのだ。上の画像がそれ。あの純朴なスターリング少年が、可愛がっているラスカルに舌打ちを?
「ほのぼのした名作アニメのキャラクターに毒を吐かせる事の、どこが面白いのだろうか」というのが、彼らの言い分なのだ。
たしかにその通りだ。安易なパロディはやめて欲しい。
パロディには、愛がなければ。
そう、そこに愛があるのであれば、パロディは可だと思う。
ちなみにスターリング少年の舌打ちだが、CM制作側はある元ネタを知っていて、パロディに仕立てたのではないか?というのが私の推測だ。
その元ネタというのが、こちら。
本家「あらいぐまラスカル」での、スターリング少年の舌打ちシーン。
第8話「蛙とボクシング」で、スターリング少年は舌打ちをする。なんという苦々しい表情だろうか。誰に対して舌打ちしたのかは、ネタバレになってしまうからここでは伏せておこう。
アニメでは、もともとこういうシーンがあるのだ。
私はNHK BSプレミアムで「あらいぐまラスカル」を観ているので、このシーンの事を知っていた。
このシーンに対するオマージュだとしたら、モンストのCMはアリだ。モンストのCMに不快感を感じている人は、おそらく知らないのではないかと思う。yahoo知恵袋に見られる彼らの意見のほとんどが「名作アニメを汚さないで欲しい」というものだからだ。
しかし、そんな人たちに限って、よく作品を知らない。ラスカルの表面的なかわいさだけで語っている。作品を通して観ていない。多分どんなストーリーかも知らないのだろう。
「あらいぐまラスカル」には残酷な描写が多い。人間の汚い部分をちゃんと描いている。スターリング少年もただの純朴少年じゃない。イジメっ子をやっつけるためにボクシングを習い、叩きのめす強さも持っているのだ。
話はちょっと変わるが、日テレ朝の番組「ZIP」の「マジンガーZ」のパロディアニメ「マジンガーZIP!」や、家庭教師のトライのCMでの「アルプスの少女ハイジ」は、どうだろう。これらのパロディには正直、愛を感じない。名作アニメをパロディにするのはよい狙いだと思うのだが、本来のキャラクターの性格をねじまげてまったく別物に作り変えている。クララがCMで「このザマよ」なんてセリフを吐いているのを見て、違和感を感じた人も少なくないのでは。
「キン肉マン」もいつか、そんな企業CMの餌食になってしまうのだろうか。スーパーヒーローの強さを損なうようなCMだけは、やめて欲しい。