大滝詠一 『DEBUT AGAIN』 | AREA73 MY NEXT THIRTY YEARS

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1973年出現、船長、だけど今は陸での仕事。
海に戻りたい坊主おやじの出来事、気になる事。

さて、日本への出張に買い出しを絡めてきたわけですが、流石に生活に必要なモノだけの買い出しではつまらなさ過ぎる‼︎
というコトで合間を縫ってCD Shop巡り。
船から下りて来たようにジャケ買いやちょっと気になるだけでは買わず、狙いを決めて。

大滝詠一「DEBUT AGAIN」2014年の年末、惜しくもこの世をあとにした大滝詠一のニューアルバム。
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2016年3月21日リリース。
いや~、正直初回版はないかなぁ?なんて思っていましたが、意外あって嬉しい反面、ちょっと残念な気分。

そんなアルバム、ソニーミュージックの特設サイトでは以下のように。
32年ぶりのニューアルバムには、松田聖子に提供した「風立ちぬ」や小林旭に提供した「熱き心に」、薬師丸ひろ子への「探偵物語」等、他者への提供曲、プロデュース作品を大滝自身が歌唱したバージョンを収録。
今回のアルバムに収録される提供曲は、No1ヒットを記録したり、カバーが多かったり、ロングセラーを記録したりしている名曲揃い。
すべて合わせると売上枚数が500万枚(シングル、アルバム含む)を超える。
その楽曲の生みの親でもあり楽曲の隅々まで知り尽くした大滝自身の歌唱は、その真髄を感じ取ることができる内容となっている。とのコトです。

さてさて、早速聴いてみましたよ。 

1.熱き心に(小林旭)
作詞:阿久悠、作曲・編曲:大瀧詠一、Strings Arrange:前田憲男 
小林旭の「昔の名前で出ています」に次ぐヒット作。
このバックトラックは小林旭のトラックと同じモノで、小林旭の収録が終わった後にこっそりと歌入れしたとのこと。
どちらが声が高いかな?
やっぱり小林旭の方が高いかな?
大滝詠一らしく、肩の力抜けた柔らかい歌声が、小林旭バージョンとは異なり優しい。
小林旭バージョンの絶妙な音切りもイイですが、滑らかかつメロディに委ねるかのような抑揚ある、でも頑張り過ぎてない感じがイイですよ。 

2.うれしい予感(渡辺満里奈) 
作詞:さくらももこ、作曲:大瀧詠一、編曲:CHELSEA 
まさかまさかの「ちびまる子ちゃん」のテーマ曲にさくらももこが大滝詠一に依頼して…といろいろあるみたいですが、実はボク渡辺満里奈バージョンを知らない‼︎

ミディアムポップな大滝詠一らしいメロディラインですね。アレンジャーは大滝詠一ではなく前田憲男ですが、2番の後のドラムは正に「君は天然色」。
遊びごころが散りばめられていますよ。 

3.怪盗ルビィ(小泉今日子) 
作詞:和田誠、作曲・編曲:大瀧詠一、Strings&Horn Arrange:服部克久 
コレも実はあまりちゃんとキョンキョンバージョンの記憶がない。
映画『怪盗ルビィ』の主題歌ですね。スウィングするようなメロディにストリングス、コーラス!これぞ大滝詠一のアレンジ‼︎って感じ。また、この大滝詠一の声がイイ。Aメロ、Bメロはいつもの優しい声ですが、サビでの作った声が表情豊か。 

4.星空のサーカス(RATS & STAR) 
作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一、編曲:宿霧十軒 
更にコーラスはJack Tones。 
そう、作詞の松本隆以外は全部大滝詠一。
編曲は他のアーティストに提供する時に遊びごころで色んな名前を付けていますよね。

CHELSEA、多羅尾伴内…そう、「うれしい予感」のアレンジャーも実は大滝詠一。
Jack Tonesは大滝詠一のひとり多重コーラス。これが聴いて楽しい‼︎本歌よりついついコーラスに耳を奪われていまいます。 

5.Tシャツに口紅(RATS & STAR)
作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一、編曲:井上鑑
 RATS & STARのMellowなヒット曲ですね。
鈴木雅之とは違ったムードある歌声がイイ感じ。
歌詞の内容は大滝詠一の方がすんなり入ってくるかもしれませんね。
鈴木雅之バージョンは全体の雰囲気で聴いてしまうんですが、イイ意味で言葉が浮き彫りになっているんですよ、大滝詠一バージョンは。
基本的バックトラックは同じらしいですが。
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6.探偵物語(薬師丸ひろ子) 
7.すこしだけやさしく(薬師丸ひろ子) 
作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一、編曲:井上鑑 
薬師丸ひろ子に提供された2曲の楽曲ですね。基本バックトラックは同じみたいですが、キーを1つ下げられているみたい。薬師丸ひろ子の透明感ある声とは違いますが、この柔らかさがなんとも言えないんですよね。 

 8.夏のリビエラ -Summer Night in Riviera
作詞:松本隆、英語詞:MARTHA LAVENDER、作曲:大瀧詠一
そう、森進一に提供した「冬のリビエラ」の英語詞、夏バージョン。
コンピレーションアルバム『SNOW TIME』に既に収録されていますが、改めてこのラインナップで聴くと新鮮。
初めては1983年の西武球場でのコンサートで披露されたのが初めですね。
大滝詠一の英語、なんだか雰囲気あるんですよね。

9.風立ちぬ(松田聖子)
作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一、編曲 : 多羅尾伴内
ある意味このアルバムの目玉じゃないでしょうか、次の「夢で逢えたら」と共に。
ボクが松田聖子のファンだからだではなく、一度きりしか歌っていない、更にはコンサートバージョン。
松田聖子のバックトラックとは異なりますが、提供した楽曲、編曲に違いサウンドです。
ところどころ大滝詠一自身のクセが見えますが、松田聖子の歌入れの時に何度も歌唱指導したことが感じられる同様の歌い回しに、流石に楽曲を作った本人を感じますね。
ただ、コンサートバージョンで貴重な音源ですが、やはりスタジオ録音の歌入れを聴きたいと思ってしまいます。
叶わぬ夢なんでしょうけれど。

10.夢で逢えたら(吉田美奈子)
作詞・作曲 : 大滝詠一
以前日本楽曲の中で一番多くカバーされている楽曲と聞いたような気がしますが、その真偽の程は。
長年、この曲のセルフカバーはないと云われていただけに、この音源は貴重きわまりない‼︎
艶やかな歌声、吉田美奈子やシリアル・ポール、鈴木雅之とは違う感情豊かな表情がホントイイですね。
シンプルなストリングス仕立てで、綺麗で大人の雰囲気。
この10曲の中で唯一、大滝詠一作詞・作曲の作品。
カバーではなく、もしかして自分自身の為に書いた曲じゃないの⁇ってくらいしっくり。
1番の歌の解釈者である楽曲提供のみしる、歌に込めた思いが表現されているように感じましたね。
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ホントに残念でなりません、早過ぎる死。
もう、大滝詠一の新しい作品に出逢えないのかと思うとタイヘン淋しいですね。
そんな中での未発表の音源。

非常に嬉しいアルバムです。
3楽曲自体は既に発表され、チャートを駆け上った楽曲ですが、大滝詠一自身の歌声、曲によっては異なったアレンジにより新たに、いや故郷に戻り奏でられたことで新曲の感さえします。

コレは当分ヘビーローテーションですね。