同僚の平均年齢は 50代後半といったところだろうか。

日が経つにつれて 良さが 解ってくる。
皆さん 俺に 色々話しかけてくれるようになった。
そんな先輩方々のアドバイスを後に いつもの如く 12時10分頃には
営業所を 飛び出し街へと繰り出す。

今日は どんなドラマが待ち受けているのだろう?嬉しい出来事も 嫌な出来事も 新鮮で まっすぐに 胸を張って捉えることが出来ている。
全部が 自身のパワーになっている感じだ。

今朝の8時に洗車を済ませて 帰宅したのが9時半頃。この仕事に転職して 初めて 昼間に眠ってしまった。明日の12時からまた乗車するので 今夜眠れないと 明日のペース配分は厳しいものになる事は必至。
疲れが軽減されて 久しぶりに 頭の中もスッキリしているけど 眠れなかったら 失敗だな。

今から 反省と 明日の戦略を練る時間だ。
早く リズムを つかまなければ…
入道雲が不完全に形状を変えて ちんぽみたいな形の雲になってる。

那の津通りを 流していたら カラスの集団が 何かしら 俺に語りかけてきたけど 最後まで理解できなかった。

そのうちの一匹が 通行している 会社員らしき制服に身を包んだ若い女性を襲ってしまった。
信号待ちの 大通りでの出来事である。

(えっ?)

予測不能のアクシデントに 目を疑ったが いま まさに カラスが 人間を攻撃している。

女性の頭を嘴で 突き刺そうという 勢いである。三度攻撃を加えてヤツは 玄海灘の彼方へと 飛んで行った。

買い物帰りの婆さんの大根を狙うのならば 話は理解るのだが 何だったのだろう。ヒッチコックの映画を少しだけ思い出したら 信号が青へと替わり 埠頭を 右へ曲がった。

今日の俺は 真剣に タクシードライバーを 演じている。

開始から3時間で予定より 大幅に少ない 1人しか 客を 運んでいない。
昨日までは 確かに 乗せたくはなかったさ 。
でも 今日は 誰人でもいい。目的地まで 旅をしたいのに 群衆は 俺にソッポを向けている。

前半戦は散々な結果に終わり 俺は愛想を尽かした中洲で 後半戦の勝負を賭けた。自身の酒癖の悪さには 定評があるので 酔っ払いは 出来るなら乗せたくはないと思っていたけど 綺麗事はこの際 言ってられない。

しかし 皆さん アルコールを身体に 染み着かせても紳士なんだな
俺の酒癖の悪さが これにて キチガイと証明された事になる。

結局 3万円を少しだけ
越えたところで 朝がきた。

物凄いペースを 体験することが出来て 恥ずかしながら 自信が ついた。

しかし 次の乗車では (昨日の12時から今朝の7時まで) 1万7千円しか 売り上げが無くて
落ち込む事となる

しかし ドライブメンから タクシードライバーへと 少しは進歩したかな。

そして 腐るほどに 寝息をたてて 死んだように
眠った。納得できる 睡眠密度を 思い出し始めている。
今回の乗務は12時から翌朝7時までの約19時間。

人間が 成長したいと願う時は 必ず 真剣に物事を考えるもので 今回の乗務は ( 今の俺の力量で 命懸けで やるだけやったら どれくらい 売上をあげられるか。)
をテーマに スタートした。体調のリズムは 狂ってしまい 少しだけ 不安だけど 一つ一つ 前へ進む必要が ある。

ちなみに 前回の 売上合計は 1万6千円。新人なので 無線配車も無いし 待機も出来ない。
ただ 街を流すしか 術のない現実のなか いくら 稼げるのか 興味もあったし 何よりも 俺を真剣にさせた理由は 馬鹿げたレベルの会話と やる気のない空気の入り雑じった休憩室で 偉そうにしている 同僚の先輩に 負けたくないという感情からだ。90%の輩は
そんな 人たちだと わかってしまい 一切休憩室には近づいていない。

今日も 営業所へは 帰ってくるつもりは毛頭無いし 何より 大切なテーマがある。

始業前点検と点呼を 済ませると 脱兎の如く 営業所を飛び出し 焼けつく日射しの街へと アクセルを切った。

まだ ドライブメンのままである。