ヘルムスという存在をご存知ですか?


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アメリカの個性的なスーパーマーケット、トレーダージョーズでは、店長をキャプテン(船長)と呼び、従業員をクルー(乗組員)とよびます。

つまり、全世界へと航海して、おいしいものを探してくる冒険船、それがトレーダージョーズというスーパーマーケットの個性だと約束しているのです。


この店の商品は「人」です。

ヘルムスと呼ばれるクルーは、1時間交代で店内を歩き回り、買物客と世間話をして楽しませ、顧客とのコミュニケーションを深めることを仕事としています。


その間、売上げは一切生まず、店舗作業もしません。

なんと非効率な、と思うかもしれません。

しかし、彼の営みはきわめて合理的です。


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文化のために経営を合理化せよ


商業界創立者、倉本長治の遺した商人の行動指針「商売十訓」の9番目に挙げられている一文です。

 

商売十訓の元となった「商業界ゼミナール誓詞」には、こう記されています。

 

商売が文化を促進するという信念の下に常に経営合理化の責任を自覚しよう


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かつて「5つのNO」という店舗運営の合理化を実施、パソコン製品のディスカウント販売で注目された店がありました。

「5つのNO」とは、次のとおり。

「説明しない」

「展示しない」

「交換しない」

「解約しない」

「無料サービスはしない」

ほかにも店内トイレの利用不可、購入価格3万円以上へのクレジットカード利用制限など、低価格実現のためにさまざまな顧客サービスが制限されていました。

 

一時期、急速に売上げを伸ばし、業界の寵児と言われた同社ですが、その後、ウインドウズ95の発売をいうパソコンの大衆化をきっかけに売上げ不振に陥り、「5つのNO」を廃止してサービス力向上に努めましたが、ときすでに遅く、倒産に至りました。

 

本当の経営合理化は、儲けのためではなく、まず何よりもお客さまにとって、その生活や消費の文化水準が良くなることに役立つ方向で進められなくてはなりません。

「5つのNO」を振り返るとき、文化のために経営を合理化するとはどういうことかを考えさせられます。


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さて、トレーダージョーズのヘルムス。

彼は店都合に立つと、確かに効率的ではありません。

しかし顧客の側に立つと、彼がいることで買物が楽しくなります。


店の使命を、顧客を喜ばせることに置いているトレーダージョーズにとっては、彼の行動は極めて理に合っているのです。