「さあ、行こうか!」





私がずっと心待ちにしていた旅行。



運転席に乗り込んだ彼が
笑顔で私にそう言って
手を繋いで来た。
高速使って約3時間のドライブ。





道中、道の駅や直売所、博物館に立ち寄りながら、17時頃ホテルにチェックイン。




部屋のオーシャンビューにテンションが上がる。
バルコニーに出て水平線を見ながら彼が私の様子をニコニコしながら見ている。
喜んでいるか窺っているのを感じ取ったので
すぐにお礼を伝えた。




「今年もありがとう。
こんな素敵な誕生会、本当に嬉しいです」



「どういたしまして。
喜んでくれて嬉しいよ。
まだまだ楽しみを考えてあるからね…」






まずは、浴衣に着替えて温泉。

「じゃ、20分後にここでね!」と彼が言う。




食事の予約があり、20分しかないので露天風呂だけを楽しみ、神田川のようだわ、と思いながら彼を待つ。


合流して食事へ。




やはり、こちらも海が見える席が用意されていて
海鮮のフルコースをいただいた。


刺身盛り合わせに、蛸のしゃぶしゃぶ、天ぷら、焼き魚に釜飯、海鮮サラダ、ゼリー寄せ、酢の物の小鉢など。デザート数種。


「こんなごちそう食べてバチ当たらない?」
「当たるかもね!笑」

どれも本当に美味しかった。



食事中、私が本業の話を面白おかしく披露すると
彼の合いの手がまた絶妙で
二人で息も出来ないほどに笑う。
過去イチ、楽しい。



部屋に戻ると


「このテンポと空気感がたまらなく心地良くてまたすぐに会いたくなる」


と、私を抱きしめた。





「お誕生日おめでとう」とプレゼントをいただき、
ネックレスだったので鏡の前で彼に着けてもらった。
ペンダントトップはシンプルな馬蹄形でとても素敵!


「可愛い!ありがとう!」



彼は私にネックレスを着けながら



「明日はフェリーに乗って島へ行くからね。
 朝ごはん早めに食べるから6時に起きるよ」

と言う。



それを聞いてまた喜ぶ私。





「いつも言ってるけれど、変わらずに優しくしてくれて本当にありがとう」



と言うと、彼は



「いつも3ヶ月全力で大切にしようと思っているんだ。3ヶ月経ったらまた次の3ヶ月、って。
人間っていつ死ぬか分からないから、俺の気持ちは死ぬまで変わらないから安心して欲しいけど、俺が死ぬ前にちかの気持ちが変わって失わないように精一杯大切にしたい、と思ってるだけ」




思ってるだけ、と、彼は言ったけれど
14年もその気持ちを持ち続けてくれるって
なかなか出来ないのにな…
そんな風に考えてくれていたんだな…
と感激して泣きそうになり


照れ隠しに


「自分だけカッコ良過ぎー!」と言ったが


逆に私は


別れにしろ、死別にしろ


離れた時に後悔が残らないように気持ちを伝え切れているだろうか、なんて思う。
せめて、彼が気持ちを伝えてくれた時くらい
私も自分の気持ちは伝えていきたい。



私の気持ちを伝え過ぎるのは
既婚者の彼にプレッシャーになるのでは…とずっと控えてきたけれど
彼も気持ちを求めてるのを感じたので





今までの関係の中で彼が築いた私から彼への信頼は、一生疑ったりブレたりしないと思う事や


彼が支えてくれる絶対的な安全基地があるから
私はどんな時も頑張れたし


烏滸がましいなと思って気付かないふりをしてきたけれど、彼に愛されている事も本当は分かっている事も


部屋で飲みながら話した。



彼は頷きながら

「コンビニのおにぎりも二人で食べたらより美味しいと感じるし、君の笑顔を見る度に幸せを噛み締めてる。これからも楽しみだよね」


「幸せです」
「幸せだよね」




ドライブもお宿も食事もフェリーも

旅行中、全部が嬉し過ぎて



「帰りたくないなぁ。
 名残惜しいなぁ。」


と、言っていたら



「このまま俺も家に行こうか?」

と、私の家にもう一泊。


運転で疲れた彼は家に着いて1時間ほど爆睡していたけれど

遅めの晩ご飯に出掛け二人で旅行を振り返り。




今朝、彼が帰る時にメッセージカードを置いて行った。

分厚くて重い。
…だいたい察する。


中にはおめでとうのメッセージの他



「これも誕生日プレゼントです。
欲しい物があったら使って下さい」


と、商品券3万円。


ありがとう。
遠慮せずいだだこう。




充実した2日半。
幸せな誕生日旅行だったな。