私の家で、ソファに座って呑みながら
至近距離で話をしていて


いつも通り彼は膝ごと私に向きながら
身を乗り出して
頷いたり、笑ったり
会話を楽しんでいる。



途中、私はお手洗いに立ち
トイレの中の鏡を見ると
笑い過ぎて涙で滲んだアイラインに気付いた。




彼の隣に戻り

「ねぇ!見てー!」と顔を近付けて

「外ご飯の時にこんな風になってる時は “メイクがよれてるよ!”ってこっそり教えて下さいね」

と、言うと


「俺には気付けない範疇のリクエストだ…」


と、彼は笑っている。


「あ、でも、シワが増えたね!みたいな指摘は要りませんから」と、言った私に


「笑い皺とかある女性は幸せそうで素敵だと思うけどねー。
女性は気にするのかも知れないけど、メイクもシワも男はそんなに気にしてないと思うよ。
若ければ魅力的!という事じゃないし」




すかさず

「じゃあ、永野芽郁ちゃんと私なら、私がタイプという事で良いですね?間違い無いですね?」

と、意地悪く追い込むと



彼は

「それは…ごめん。自分に嘘は付けない」

と、大笑いしている。





私は年を取る事に抵抗も無いし
老化や劣化も受け入れている。
半世紀生きて
酸いも甘いも噛み分けてきた。


人に恵まれている事と経験値だけが財産。

今の私で充分だ。



年齢相応に小綺麗にはしておきたいが
若く見られる必要は無い。


でも、これは
彼にとってはいつまでも私は「8歳年下」であるから、思う事かも知れない。


15歳年下の彼と恋をしている友人は
やはり彼と同年代に見られたいという思いが強くあるようだ。



恋のはじまりは見た目でも
外見にときめく時期は短く
きっと3年も経てば顔ばかりに目はいかなくなる。


私も
彼の声が好き。
言葉のチョイスが好き。
二人で居る空気感が好き。
人の良さが滲み出ている優しい顔が好き。
ひたすら優しく、頼れるところがとても好き。
全てが組み合わさって、彼が大好き‼︎なんだろうな。



友人には
外見より、内面が輝いてる方が惹かれるから
年なんて気にしなくていいよ、と言いつつ


私も、もしも彼が15歳年下だったら
経験値で勝負と言う訳にもいかず
今頃エステで高額のローンを組んでいたかも知れない。



『ありのままの自分で、一緒に居て心地良い』


私には、それも、彼の大きな魅力。